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社説

迫る「新START」期限 核管理は最低限の責任だ

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 米露間に残る唯一の軍縮条約が来年2月に期限を迎える。

 新戦略兵器削減条約(新START)は、相手の本土を攻撃する核弾頭と、搭載する長射程の弾道ミサイルや爆撃機の配備数に上限を設ける。厳格な相互の査察も導入した実効性のある条約だ。

 規定に基づき米露とも核弾頭を1550発以下に削減した。関係が険悪な時でも査察は実施され、これまで300回以上に及ぶ。

 ロシアは条約の5年延長に前向きだ。米国は核戦力の現状に照らせば中国を加える必要があると主張する。期限まで7カ月と迫るなか、対立は解けず、このままなら失効するおそれもある。

 核軍備管理の枠組みが無くなれば核配備の実態が不透明になり、軍拡をあおりかねない。まずは条約を延長し、核軍縮の土台を維持することに注力すべきだ。

 ただし、延長しても現在の核リスクに対応できないのは事実だ。2011年の条約発効からの大きな変化は核兵器の近代化だろう。

 ロシアはマッハ20の極超音速で飛行するとされる新型ミサイルを配備した。米国にも同じ計画があるが、後れを取っている。

 米国は通常兵器の強化とともに新型の核巡航ミサイル開発計画など核戦力の増強を打ち出し、ロシアは警戒を強めている。

 米露とも小型核兵器の開発に血道をあげ、サイバー攻撃にも核兵器で反撃すると示唆している。いずれも現行の条約では縛れない。

 世界は核兵器の量より質を競う「第2の核時代」にあるといわれる。核使用のハードルは下がるばかりだ。包括的な軍備管理体制をどう築くかが核心的な課題だ。

 その際、米露に続く核保有国である中国の参加は不可欠だ。長距離や中距離の核戦力を保有し、極超音速兵器も配備している。

 中国は米国が求める軍縮交渉への参加を拒否している。だが、中国なしの軍縮はありえない。軍備管理の責任を果たすべきだ。

 国際社会の取り組みも停滞している。核兵器禁止条約は決議から3年を経てなお発効に必要な50カ国の批准に至っていない。

 「核兵器なき世界」は東西冷戦時代からずっと受け継がれてきた世界共通の理念だ。そのともしびを消してはならない。

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