「日本の電波天文学の聖地」と称される施設が長野県にある。1982年に開所した「国立天文台野辺山宇宙電波観測所」で、世界レベルの研究成果を次々と発信してきた。しかし、近年は研究費削減で厳しい運営が続く。「38歳」になった望遠鏡の軌跡と今を追った。
観測所は、天文学の分野では日本で初めて世界最高レベルの観測装置を備えた施設だった。観測に使うアンテナ(望遠鏡)の直径は45メートル。建設費の総額は、基礎科学の施設として当時国内最高の110億円に上った。「(研究者らの間で)『世界一の望遠鏡を作ろう』が合言葉だった」と、計画の中心だった国立天文台の元台長、海部宣男さん(2019年4月に75歳で死去)は書き残している。英科学誌ネイチャーは「日本が基礎科学分野で世界をリードする初めてのケースになる」との紹介記事を載せた。
観測所を代表する直径45メートルの電波望遠鏡は、人の目で言えば視力「4」に相当する。鏡の部分はアルミと炭素繊維でできており、全体の重さは約700トン。直射日光による熱変形などを考慮して設計された。巨大な望遠鏡を髪の毛1本分(約0・1ミリ)の精度で制御しながら、宇宙から地上に降り注ぐ「電波」を観測している。
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