メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

サンデー毎日発

2021年度入試はこう変わる! 改革で進む理系学部再編 人気の情報系を設置するのは?

最後のセンター試験で開始時間を待つ受験生ら=東京都文京区の東京大学で2020年1月18日

[PR]

 2021年度(21年4月入学)から、大学入学共通テストがスタートする。それに合わせて各大学とも改革を進めており、学部・学科の新設や改組も行われる。各大学の具体的な取り組みを紹介しよう。

 社会から求められる人材養成が大学の使命の一つであり、社会構造の変化に見合った改革が求められている。その中でも目に見えやすい改革が、新しい人材養成を目指して進む学部・学科の新設だ。これらを踏まえて21年度の新設学部・学科に注目すると、情報系が多く、AI(人工知能)やIoT、ビッグデータなどを活用して新たな産業を創出する第4次産業革命の真っただ中にいることがよく分かる。

 主な大学の学部学科改組・入試変更点を見ると、圧倒的な人材不足といわれる国内外のデータを分析するデータサイエンティストを養成する学部・学科が数多くある。国立は群馬大・情報。私立は▽中央大・理工のビジネスデータサイエンス学科▽立正大・データサイエンス▽南山大・理工のデータサイエンス学科▽大阪工業大・情報科のデータサイエンス学科などだ。代々木ゼミナール教育総合研究所の主幹研究員、坂口幸世さんは言う。

 「データサイエンスに加え、プログラミングやハードウエア開発などを学ぶ情報系人気が続いています。今後もAI、IoTの発展が期待され、人気は継続するでしょう。新型コロナウイルス禍における自身の自宅学習や社会人のテレワークなどを通して、情報技術の可能性の広がりを理解できたことも影響しそうです」

 情報技術の発展により一般的な事務職が削減され、サラリーマン養成学部ともいわれる経済・経営・商学系の人気が下がっている。一方、第4次産業革命の波に乗り遅れたといわれる日本は、今後の情報産業の発展の余地が大きいことから、学部選びの重要な要素である就職を意識した受験生から情報系が注目されている。データサイエンスやプログラミングの分野は、文系の受験生も出願できるため、社会科学系からの志望変更が可能な点も、この系統の志望者が増え続けている要因だ。

 産業構造の変化に対応するための理工系の再編も、21年度の大学改革の特徴といえよう。

 「製造業が日本の産業の中心だった頃、大量のエンジニア養成のために、機械系や電気系などの学科が理工系に設置されていました。それが産業構造の変化とともに、現在のニーズに見合った学科への再編や、情報や建築などを学部として分離する動きが見られます」(代ゼミの坂口さん)

 九州大・工は、既存の電気情報工や機械航空工、建築など6学科を12学科に細分化する改組を行う。その他の国立は群馬大・理工、岡山大・工などが改組を予定している。私立は青山学院大・理工、東京都市大・理工、南山大・理工、関西学院大・理工と、多くの大学で理工系学部の再編もしくは、学科新設が予定されている。東京理科大は、これまでの学びを継承したうえで、新たな学問・教育分野に対応するため、既存の基礎工を先進工に学部名変更をする。

 これらの大学の中で、大規模な改革を行うのは関西学院大だ。理工1学部から、理、工、生命環境、建築の4学部体制になる。4学部は既存の総合政策とともに神戸三田キャンパス(兵庫県三田市)に開設され、理系4学部と文系1学部が融合することによる、教育・研究体制の充実を図る。

 「名称から教育・研究内容が分かりにくい学部は受験生が集まりにくい。関西学院大の改革は、分かりやすい名称の学部が揃(そろ)うことで、優秀な受験生が集まりそうです。神戸三田キャンパスは郊外に立地します。一般的な受験生は利便性を求めますが、理系は立地より設備の充実を重視するので、マイナスにはならないでしょう」(代ゼミの坂口さん)

志願者減は一時的か 国際・観光系も新設

 一方、多くの受験生が大学選びの条件として、利便性を重視することも事実だ。そうした点から注目されるのは、文系3学部を利便性の高い、みなとみらいキャンパス(横浜市西区)に移転する神奈川大だ。3学部のうち、国際日本と外国語は横浜キャンパス(同市神奈川区)からの移転なのに対し、経営は湘南ひらつかキャンパス(神奈川県平塚市)からの移転となるため、他の2学部より受験生の注目を集めそうだ。

 新設学部・学科に話を戻そう。情報や理工系以外で見ておきたいのは観光系だ。新型コロナウイルスの世界的な流行で需要が大幅に減っても、インバウンドをベースとした観光業は、これからの日本を支える産業の一つであることは間違いない。21年度は、兵庫県豊岡市に国際観光芸術専門職大が開校する。学部では、地域と密着したまちづくりを目標に掲げる国学院大・観光が新設される。

 現在は、世界中の人や物の動きが停滞しているが、将来的に見て、グローバル化の流れが止まることは考えにくい。そうした中、グローバル人材を育成する学部として、神田外語大のグローバル・リベラルアーツや大谷大・国際などが設置される。

 観光系と国際系は、20年度入試(20年4月入学)で志願者が減少傾向だった。この流れはコロナ禍での観光業の冷え込みや、国際系志望者が重視する留学が困難な状況になる中さらに強まり、21年度も人気は上がらないと見られている。ただ、大学関係者は言う。

 「観光は、これからの日本の産業の柱になることは自明で、国際系におけるグローバルな学びも不可欠です。薬やワクチンが開発され、コロナ禍が終息し、元の生活に戻れば、観光系や国際系は再度注目されるでしょう」

 21年度の入学者が卒業する25年には、再びグローバリゼーションが加速する可能性もある。そうなると、観光系や国際系出身者に対する社会からのニーズが高い学部系統になることも考えられる。志望者減が見込まれるうえに、学部新設が進む“お得”な学部系統になるかもしれない。

 当たり前のことだが、社会の変化に対応する人材養成を目的とした学部・学科の新設や改組は、これからの社会で必要とされる分野が多い。中には武蔵野大・アントレプレナーシップという、起業家を養成する学部もある。改革を進める大学の状況も併せて、コロナ禍の先を見据えた志望校検討を進めてほしい。【大学通信・井沢 秀】

*この特集には、2021年度入試の「主な大学の学部学科改組・入試変更点」をまとめた表があります。そちらは実際の誌面で確認してください。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. “お蔵入り”大阪市長の肝煎り学校のフェースシールド 医療界が止めた理由

  2. ベトナムで感染力強い型のコロナ流行か 首相「拡大防止へ重要な時期」

  3. 療養ホテル、沖縄は1カ月半「ゼロ」 菅氏が批判、知事は「予想より早く感染者増えた」

  4. ORICON NEWS 香取慎吾「こんなにテレビ出れないか」独立から3年のホンネ 草なぎの大河出演にガッツポーズ

  5. 奈良の感染者の26% コーヒーの香り、カレーの味分からず 発熱から数日後

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです