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余録

「天空の城を築くのに建築の法則は通用しない」…

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 「天空の城を築くのに建築の法則は通用しない」。英作家チェスタトンの名言が科学の研究不正を象徴する言葉となったのは、捏造(ねつぞう)されたデータにもとづく研究論文の冒頭に掲げられていたからである▲生化学の権威ラッカーと大学院生スペクターが1981年にサイエンス誌に発表した論文は、がん発生のメカニズムに迫るノーベル賞級の発見だった。「天空の城」とは、従来の常識を超えた画期的成果を誇る言葉だったのである▲だが、論文発表の1週間後、その共著者の一人がスペクターによって行われた実験が捏造であると発見する。論文はまさしく架空のデータにもとづく「天空の城」だったのが分かり、粉みじんとなった(黒木登志夫(くろき・としお)著「研究不正」)▲今、世界の研究者が目の色を変えて大競争を繰り広げる新型コロナ研究にも「天空の城」が築かれていたのだろうか。英米の一流医学誌に掲載された二つの論文が、使用していた患者のデータに疑義があるとして撤回されたのである▲論文はハーバード大のメフラ教授が、米企業の保有する世界各国の患者データをもとに治療薬の効果を検証したものだ。だがこのデータの信ぴょう性を問う声が起こり、調べるとデータベースの存在すらも疑われる事態となっている▲検証された薬はトランプ米大統領が推奨した抗マラリア薬だったから、世界的話題にもなったこの研究だ。だがここは天をめざすよりも地に足をつけ、吟味したデータを用いてほしいコロナ研究の最前線である。

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