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社説

骨太方針とデジタル化 格差是正の視点が乏しい

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 政府は、経済と財政に関する「骨太の方針」の原案をまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大で危機に陥った日本経済の新たな姿をどう描くかが焦点だ。

 目玉はデジタル化の推進である。今後1年を、そのための集中改革期間と設定した。

 行政手続きの効率化を最優先の政策に据えた。コロナ対策の柱とした国民への給付金の支給が遅れたためという。

 ただ、安倍政権は過去の骨太の方針でも「アナログ行政との決別」を掲げていた。進まなかったのは政府の責任である。しわ寄せがこれ以上国民に及ばないよう、原因を分析して、しっかり改善に取り組むべきだ。

 経済のデジタル化も重要課題に位置づけた。企業のテレワークやオンライン化のための投資促進を打ち出した。生産性を高め、早期の景気回復を図りたいのだろう。

 だが効率ばかりが優先されるとデジタル化に伴う格差が広がる恐れがある。IT環境の整った大企業はテレワークを行いやすいが、中小企業は難しい。非正規労働者や地方も取り残されかねない。

 デジタル化の目的は国民の暮らしを豊かにすることだ。テレワークもあくまで、非正規労働者も含めて働きやすい社会を実現する手立ての一つである。

 コロナ禍は深刻な経済格差を浮き彫りにした。弱い立場の人が直撃され、コロナ関連の解雇の約6割は非正規労働者が占める。

 コロナを機に重点的に取り組む必要があるのは格差の是正だ。それなのに骨太の方針が格差に言及した部分は少ない。アベノミクスの問題点も検証していない。

 そもそも格差はアベノミクスが以前から抱える問題である。安倍晋三首相は景気回復の成果を強調してきたが、恩恵は大企業に多く、中小企業や非正規労働者には乏しかった。

 首相は「デジタル化に国民目線で取り組む」と表明した。ならばコロナ禍に苦しむ国民の不安を払拭(ふっしょく)する政策こそ優先すべきだ。

 巨額のコロナ対策で国の借金は大幅に増えた。生活を守る支出は惜しむべきではない。だからといって借金漬けのままにしていいわけではない。政府はコロナ後の財政の将来像も示す責任がある。

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