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社説

相次ぐ豪雨被害 防災の総合力を高めたい

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 豪雨によって九州、四国、東海の広い範囲で河川が氾濫した。住宅街が浸水して多数の犠牲者が出ており、治水対策のあり方が問い直されている。

 熊本県の球磨川など四つの1級河川で氾濫や決壊が起きた。氾濫危険水位を超えたのは130河川以上に上っている。

 国土交通省によると、梅雨時の大雨や台風で氾濫危険水位を超えた河川はこの5年間で5倍に増えた。地球温暖化を背景に、従来の治水対策では通用しなくなってきているのが実情だ。

 国や都道府県など河川管理者だけでなく、流域の市町村、企業、住民が一体になって取り組む「流域治水」という考え方がある。

 ダムや堤防に頼る治水にはもはや限界があるという認識に立った新たな防災・減災の手法だ。

 たとえば、雨水を一時的にためたり、排水したりする施設を流域に整備する。住民一人一人が自分に合った避難行動を時系列で決めておく「マイ・タイムライン」の普及を進める。

 国は全国の1級河川とその水系を対象に、今年度内に対策をまとめる方針を示している。

 今回、熊本の特別養護老人ホームの入所者らをはじめとして、高齢者が逃げ遅れて犠牲になるケースが目立った。

 国は、災害リスクのある場所に立地する福祉施設や病院については移転を促す財政支援にも取り組む。高齢者ら災害弱者を守る対策は優先的に進めてほしい。

 戦後、治水対策で重視されてきたのはダム建設だった。だが、ダムの能力は限られている。経験したことのない豪雨によって緊急放流を余儀なくされ、下流域に危険が及ぶ事態も起きている。

 ダム優先の政策で堤防の強化が遅れたという指摘もある。

 ハード対策にはコストと時間がかかるうえ、どれだけ備えをしたつもりでも想定を超える規模の洪水が発生する恐れが強まっている。これまで以上に、ソフト対策を含めた官民一体の取り組みが求められる。

 全国のどの地域を集中豪雨が襲っても不思議ではなくなっている。ハードとソフト両面で対策の質を高め、地域防災の総合力を底上げしていきたい。

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