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湯川豊・評 『焼け跡の高校教師』=大城立裕・著

『焼け跡の高校教師』

 (集英社文庫・550円)

 この中篇小説は、結婚式の挨拶(あいさつ)から始まる。七十年前、当時二十二歳の「私」は高校教師だった。新郎のお祖父(じい)さんはそのときの生徒なのだが、高校教師をやったこの二年間は、「私」の生涯で最も輝いていた時間だったと思う。そういう挨拶である。

 これは回想記といってもいいような自伝的小説で、大城立裕氏は一九四八年から二年間、野嵩(のだけ)高校(のちに引っ越して普天間高校になる)の国語担当教師だった。そのときの精緻な回想なのだが、それにしても一九四八年である。周囲は、沖縄戦の凄惨(せいさん)な爪跡である焼け跡ばかり、テント張りの校舎での授業である。そういう高校教師時代がなぜ「生涯で最も輝いていた」のか。その謎が、淡々とした回想のなかで自然に解かれていくのが、じつに魅力的。

 九十四歳になる沖縄在住の作家が、それを文庫本のための書き下ろしというかたちで書いた。

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残り1000文字(全文1397文字)

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