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極私的!傑作文章列伝

空高く持ち上げたい 高樹のぶ子『その細き道』=米本浩二

 <土曜カルチャー>

 <四谷坂町に下宿があった>という簡潔な一行から始まる。「下宿」は若い世代には死語にひとしいのかもしれない。「一定期間の契約で部屋を間借りすること」をいう。昭和時代、進学などのため都会に出た若者らの大半が下宿に身をおいた。

 福岡市在住の作家、高樹のぶ子のデビュー作。1980年に『文学界』に発表。83年に同名の単行本に収録された。高樹はのちに、学生時代に実際に東京・四谷坂町に住んでいたことを明かしている。「主人公加世は地方出身者で短大に入ったばかり、しかも一人称で書いているために、私小説と間違われそうだが、実際は、20代の終わりから30代にかけて起きた三角関係が、書かせたものだ」と述べている。

 <坂町といっても、この町に何々坂という名の通ったものはなく、一帯は四谷見附から市ヶ谷の自衛隊本部にかけて、なだらかな傾斜地になっている。幾筋かある坂道のひとつを下りきったあたりに、女ばかりが下宿する二階家があった>

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