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社説

性的指向・自認の暴露 社会の取り組み広めたい

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 本人の同意を得ずに性的指向や、性に対する自己認識(性自認)について第三者に暴露することは「アウティング」と呼ばれる。これを防ぐ動きが出始めている。

 三重県はLGBTなど性的少数者の差別を禁じる条例を今年度中に制定し、アウティング禁止条項を都道府県で初めて盛り込む。

 性的少数者の人権を守るため、社会の理解を一層深めなければならない。

 アウティング問題の深刻さが知られるようになったのは2015年、東京都国立市の一橋大学で男子大学院生が校舎から転落死したことがきっかけだ。自分が同性愛者だと同級生に打ち明け、暴露された後だった。

 大学側の対応が不適切だったとして両親が提訴した。東京地裁は訴えを退け、高裁で裁判が続く。同級生とは和解が成立した。

 大学のある国立市は18年、アウティング禁止を盛り込んだ条例を全国に先駆けて施行している。

 大阪府でも裁判が起きている。看護助手が性同一性障害で性別を女性に変えたことを勤務先の病院で同意なく明かされ、差別を受けたとして損害賠償を求めている。

 裁判にまでならなくても、同様のケースは多いとみられる。

 性的少数者への理解が少しずつ深まる中で、性的指向などを自ら他者に伝える「カミングアウト」の動きは広がっている。

 ありのままの自分を知ってほしいと打ち明ける人が増えることは、誰もが生きやすい社会に近づくためにも望ましい。一方で、打ち明けられた側が暴露するのは無理解だけが原因ではなく、重みを受けとめきれないケースもある。

 自治体の中には職員向けにマニュアルなどを作っているところもある。千葉市は「誰もが自分らしく生きることを認め合う社会」を目指すため、必要な知識を伝え、アウティングを戒めるガイドラインを作って外部にも公表した。

 こうした動きは大学にもある。筑波大学はカミングアウトに適切に対応するガイドラインを作成し、相談窓口も設けている。大学は学生の多様性を重んじる場だ。他校にも広がってほしい。

 社会全体で取り組みが広がることが、苦しみを抱え込む人を減らすことにつながる。

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