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工芸の地平から

染織芸術としての着物=外舘和子

吉岡政江「生絹着織着物『月夜野に』」=日本橋三越本店の展覧会会場で、筆者撮影

 毎年4月、文化庁などが後援し、日本橋三越の催事場で大々的に開催される東日本伝統工芸展は、過日の緊急事態宣言を受け中止となった。だが幸いにも約2カ月後、会場の三越と主催者の日本工芸会東日本支部双方の熱意により、受賞作と人間国宝の作品のみの縮小内容で「第60回東日本伝統工芸展受賞作品展 併催 重要無形文化財保持者作品展」が6階美術画廊で行われた。エレベーターが開くと、60回記念の最高賞を受賞した染織作品の着物が来場者を迎えるという華やかな展示である。しかし、その「新鮮な印象」が個々の作品の美しさによるだけでなく、コロナ禍に起きた小さな「革命」であることに気づいたのは染織関係者だけかもしれない。

 これまで三越に限らず百貨店で着物が美術画廊に並ぶ機会は殆(ほとん)どなかった。実際、冒頭の展示も、当初は染織のみ4階の呉服売り場に陳列することが検討された。しかし日本工芸会東日本支部の作家らが熱心に交渉した結果、染織を含め陶芸や漆芸など工芸7部門全ての受賞作が一堂に美術画廊で展示されることとなった。

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