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社説

コロナ下の最低賃金 安易に抑制してはならぬ

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 今年度の最低賃金の目安について、厚生労働省の審議会で議論が進められている。

 最低賃金には、生活できる水準の賃金を保障する役割があり、すべての労働者に適用される。

 2016年度から4年間、3%以上の引き上げが続いている。昨年度は過去最大となる27円の引き上げ額で、全国平均の時給は901円になった。安倍政権は「早期に全国平均で1000円を目指す」方針を掲げている。

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大で企業の業績が悪化し、経営者側は「凍結」を求めている。政府も、雇用を守ることが最優先課題であると強調しており、引き上げに慎重だ。

 ただ、時給900円ではフルタイムで週40時間働いても、年収200万円に届かない。18年の統計では、日本の最低賃金は平均賃金の4割弱にとどまる。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でもかなり低い。

 今年の春闘では、新型コロナの影響が懸念される中でも、中小企業を含めて賃上げが合意された。最低賃金が据え置かれることになれば、賃上げ交渉ができる正社員らと、立場の弱い非正規労働者の格差はさらに広がる。

 コロナ下では、医療・介護や飲食・小売りなど生活に欠かせないサービスを担う「エッセンシャルワーカー」の重要性が再認識された。この中には、最低賃金に近い給与で働く人も少なくない。

 感染リスクが高い仕事に対し、それに見合っただけの賃金が支払われているのか、社会全体で問い直すべきだろう。

 地域間格差も課題だ。最低賃金が最も低い沖縄県などは790円で、最も高い東京とは223円の開きがある。引き続き是正に取り組むことが求められる。

 最低賃金を引き上げれば人件費がかさみ、中小企業で解雇・雇い止めが起きるのではないかという懸念も指摘されている。人件費の増加をカバーできるように、国は収益向上につながる設備投資への助成などを充実させてほしい。

 リーマン・ショックや東日本大震災の後も、最低賃金は引き上げられた。新型コロナを理由に、安易に抑制することがあってはならない。

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