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「黒地の絵」の世界を考える 清張が描く治外法権と差別
1950年6月の朝鮮戦争勃発時の福岡県小倉市(現北九州市)を舞台にした松本清張の「黒地の絵」という小説がある。翌月に米軍「キャンプ城野」から黒人兵らが脱走した実際の事件を基に創作している。脱走兵は小倉の民家を襲い、酒を飲み女性に暴行する。占領下で日本の警察は動けず、新聞も記事にできなかった。朝鮮戦争勃発から70年、現在の日米安全保障条約の発効から60年。この節目の年に「黒地の絵」を読み返すと改めて清張の眼力に驚かされる。今回は当時の写真を見ながら、小説の世界をたどってみた。【松田幸三】
約200人といわれた黒人兵の脱走事件。発生時、GHQ(連合国軍総司令部)の支配下で日本の警察は手出しができず、新聞もほとんど記事にできなかった。清張は地元で起きた事件の重大性を後に知り、自ら情報、資料を集めて1958年に「新潮」に小説として描いた。
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