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社説

北海道にウポポイ開業 アイヌと共生社会実現を

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 アイヌの豊かな文化を未来へ継承していきたい。北海道白老町に拠点となる民族共生象徴空間、愛称・ウポポイが開業した。

 アイヌの人々は北海道を中心に生活し、独自の文化を形成してきた。日本語と系統が異なるアイヌ語を話す。ユカラ(英雄叙事詩)などの口承文芸や自然の中で培われた宗教観、独特の文様の刺しゅうなどには海外の関心も高い。

 明治政府が推進した開拓によって住む土地を追われ、狩猟や漁労といった生業が奪われた。先住民族としての権利を侵害され、差別を受けてきた。かつての同化政策でアイヌ語が禁じられ、文化も存立の危機にある。

 「先住民族の権利に関する国連宣言」が国連総会で採択されたのを受けて、昨年にはアイヌ民族支援法が成立した。法律に初めて先住民族として明記された。施設は支援法の趣旨にのっとり、共生社会の実現を目指すものだ。

 中核となる国立アイヌ民族博物館は民族衣装や祭具など約1万点を収蔵する。アイヌの人々の遺骨を納めた慰霊施設、アイヌ文化を体験できるゾーンなどがある。

 特徴は、アイヌ語が館内展示などに優先的に使われていることだ。来場者がアイヌ語に親しめるコーナーも設けられている。

 一方で課題も残る。

 国連宣言にも明記された収奪された土地や資源などに対する先住権の議論は進んでいない。ニュージーランドや北欧など海外では権利を取り戻す動きが進む。

 支援法の付帯決議は、国連宣言の趣旨を踏まえるよう求める。先住権をどう具体的に考えるかは難しいが、引き続き検討すべきだ。

 かつて研究名目で墓地などから持ち出された遺骨の返還問題もある。身元不明の遺骨は慰霊施設に集約されるなどしたが、納得していない関係者もいる。

 開業直前に萩生田光一文部科学相が、アイヌへの差別について「価値観の違いはあった。差別という言葉でひとくくりはどうか」と発言した。翌日になって釈明したが、閣僚として歴史的事実への認識が甘いのではないか。

 アイヌの人々への差別や偏見、経済格差は今も残る。ウポポイを文化と苦難の歴史への理解を深める契機にしたい。

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