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社説

ネット上の中傷対策 被害者生まぬ議論徹底を

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 インターネット上で他人を中傷する匿名の投稿について、総務省の有識者会議が対策の中間報告案をまとめた。投稿の発信者を特定しやすくするのが狙いである。

 ネットでの嫌がらせは深刻だ。総務省への相談は、昨年まで5年続けて5000件以上に上る。5月には、プロレスラーの木村花さんがネット交流サービス(SNS)上で中傷され、死亡した。

 被害者が謝罪や損害賠償を求めるため発信者を特定するには、一般的に二つの裁判を経る必要がある。1年以上かかることも少なくなく、費用もかさむ。

 有識者会議は、通常の訴訟よりも簡単な方法によって、1回の裁判で結果を得られる新たな手続きの検討を提案した。

 悪意のある投稿を防ぎ、被害者を救済するための仕組みづくりは急務だ。発信者情報の開示制度は設けられてから20年近く変わっておらず、ネット環境の変化に対応できなくなっている。

 ただ、手続きが簡単になれば、企業が不正の告発者や、都合の悪い口コミの発信者を特定する思惑で、制度を乱用するケースが増えかねない。

 正当な批判まで萎縮させることは避けなければならない。有識者会議でも議論が不十分だとして、慎重な検討を求める意見が半数を占めた。

 これとは別に与党は、法務省や自治体による投稿削除要請に実効性を持たせ、発信者への制裁を強化するなど、幅広い規制を提言した。法務省も刑事罰見直しの検討を始めている。

 他人を傷つける投稿は許されない。一方、憲法で保障された「表現の自由」や「通信の秘密」への配慮は欠かせない。規制には、徹底した議論が必要である。

 第三者機関を創設して、人権侵害に当たるかどうかを判断することも検討すべきではないか。

 ソーシャルメディアの事業者団体も、名誉毀損(きそん)や嫌がらせの投稿を禁止する取り組みに乗り出している。公正な運用のための指針が必要になってくるだろう。

 ネットは気軽に発信ができる半面、簡単に拡散され、完全に消すことは難しい。被害者を生まない仕組みをつくるため、社会全体で取り組まなければならない。

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