毎日新聞
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地域経済がコロナ禍を乗り切るには、地銀による地元企業への粘り強い支援が不可欠だ。
政府は地銀など金融機関への公的資金による資本注入制度を拡充した。資金枠を3兆円増やし15兆円に引き上げた。申請時の収益目標の提示や経営体制の見直しを不要とし、15年以内が目安だった返済期限も撤廃した。
公的資金の投入条件を緩和したのは、地銀が自己資本比率を気にせず、企業再生支援に腰を据えて取り組めるようにするためだ。
各行とも自己資本比率は現状、最低限必要な4%を相当程度上回っている。だが、近年は不良債権処理費の増加などで目減り傾向にある。自己資本比率の低下が貸し渋りを招く懸念も出ていた。
コロナ下で地銀は地元企業への資金繰り融資を拡大している。ただ、その多くは国の信用保証制度を使った融資だ。貸し倒れが発生しても地銀は損失を被らない。一定の金利収入も得られるため、「ノーリスクでうまみのあるビジネス」とも指摘される。
しかし、「貸せば終わり」では地域経済の底割れを防ぐ役割は果たせない。資金繰り支援は急場しのぎに過ぎず、企業の再生はこれからが正念場だ。
コロナショックは長期化が予想される。地銀が企業に寄り添い、事業の見直しなど息長く手助けしなければ再生はおぼつかない。
支援を巡っては債権放棄などで地銀が損失負担を迫られることも予想される。それに耐えるには自己資本に余裕が必要だ。公的資金の活用は有力な選択肢となろう。
ただし、コロナ対応が前提だということを忘れてはならない。返済期限が撤廃されたとはいえ、公的資金を抱え続けたままでは事実上の国有銀行になってしまう。
地銀の経営はコロナ以前から厳しかった。超低金利や人口減少を背景に収益悪化に歯止めが掛かっていない。上場する地銀の約7割が今年3月期に最終減益か赤字となった。
金融庁は地銀に抜本的な合理化や再編などによる収益構造改革を促してきた。経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)なままでは地域金融の担い手として十分な機能を発揮できないと危惧したためだ。各行は経営改善の自助努力を尽くすべきだ。
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