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私の社会保障論 入院の壁=白十字訪問看護ステーション統括所長・秋山正子

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、発熱した高齢者の入院がスムーズにいかない地域が多かったのではないか。特に深刻なのは都市部。だが、この「入院の壁」が、最期をどこで迎えるか考えるチャンスになったと感じている。

 90歳を超えた認知症の親を持つ娘から相談を受けた。在宅介護を8年続けた末、限界を感じて施設に預けることに。やっと慣れたと思った頃に、高熱が出たという連絡があったという。救急搬送を要請したが、近隣の病院は新型コロナ対応のベッド確保のため空きがなく、受け入れ先がなかなか決まらなかった。やっと隣の自治体の病院が見つかり、搬送された。

 新型コロナの検査は陰性で、誤えん性肺炎との診断。だが、治療に入ると便に血が混じり、腹部検査でなんと大腸がんが見つかった。かなり進行していて、このままだと腸閉塞(へいそく)を起こす恐れがあるが、高齢で手術は難しい。「余命は1カ月ぐらい」と告げられた。ホスピス病棟のある病院に片っ端から相談したが、受けられないとの返答。入院できても、新型コロナの感染予防で面会制限がかかるという。「どうしたらいいでしょ…

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