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ボランティアに奔走 サッカー元日本代表が豪雨被災地で活動する理由

全国から集まった物資を被災地へ届ける巻誠一郎さん(左から2人目)=巻さんのインスタグラムより

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 熊本県南部を中心に甚大な被害が出た九州豪雨で、同県小川町(現宇城市)出身のサッカー元日本代表FW巻誠一郎さん(39)が、被災者に物資を届けるボランティアに奔走している。4年前の熊本地震で被災者を支援し、再び熊本を襲った災害でも各地を飛び回る。決して器用な選手ではなかったが、必死にボールを追った現役時代と同様に「誰かのために汗をかく」ことで、苦しむ故郷の力になろうとしている。

 「僕の住んでいる地域はなんとか大丈夫そうですが、熊本の県南はすごい被害が続いています」。同県と鹿児島県に大雨特別警報が出た今月4日、巻さんは自身のインスタグラムやツイッターで発信した。翌5日には救援物資の運搬を始め、被災現場の写真とともに「発電機、飲料水、掃除用具が入手できず困っているとの情報です」などとつづった。

全国から集まった物資を仕分けし運搬する巻誠一郎さん(左)=巻さんのインスタグラムより

 以来、被災地の写真や動画を発信するとともに、自ら足を運んで被害状況を確認する。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で地元の友人、知人らと情報をやり取りし、行政が設置した避難所ではなく、自宅に取り残されて動けなかったり、近隣同士で自主避難したりする人など、支援の手が行き届いていない場所を回る日々だ。熊本市の物流会社の協力を得て同市内の倉庫に全国から寄せられた物資を集積し、被害の大きかった人吉市へ自ら車を1日2往復させるなどしているが、飲料水や食料品、衣類などは不足しており「必要ない物は何もない、というくらいに、あらゆるものが不足している」と語る。インターネットで寄付を募るクラウドファンディングでも復興支援を呼び掛けた。

 選手時代の巻さんは駒沢大で活躍してJ1ジェフ千葉に入り、2006年のワールドカップ(W杯)ドイツ大会にはサプライズ選出されるなど日本代表にも選ばれた。ロシアや中国でもプレーし、J2東京ヴェルディを経て14年からJ2ロアッソ熊本に所属。18年限りで現役を退き、現在は九州を拠点に解説者などの活動をしている。

 なぜ巻さんは支援活動に取り組んでいるのか。転機は16年4月の熊本地震だった。最大震度7を観測し、大きな被害を受けたことに心を痛めた。発生直後はあふれかえっていたメディアやSNSの情報発信が日に日に少なくなると感じる一方、復旧にはほど遠い現実を目の当たりにし、被災地支援を続ける団体「ユアアクション」を自ら作り、物資の集積や運搬のボランティアを始めた。地元のネットワークを駆使して本当に足りないものは何かを聞き、支援と結びつけた。「有事に迅速な活動をするために」とNPO法人化させていたこの取り組みが、今回の豪雨でも活動の基盤になっている。

 「足りないものや課題を発信し、支援を広げることが自分の役割」と巻さん。人前で雄弁に語るタイプではなく、現役の一時期はメディアの前で口を閉ざしたこともあるが、今、駆り立てられるように発信を続ける。「現役時代にたくさんの人に支えられた経験があるからこそ、誰かが苦しんでいる時に助けることが当たり前。ピッチの中で誰かのために汗をかいたのと同じように、サッカー以外でもやっているだけ。やり続ける大切さを持ち続けたい」。華麗なテクニックはないものの、必死の形相で前線からボールを追い回すことでチーム全体の守備の負担を軽減させ、泥臭くゴールを狙った現役時代と同じように、地元の復興のために走り回る。【丹下友紀子】

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