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新型コロナ 地域と共に急がず再開 和紙技術でエプロン商品化 あすから、くにす食堂 吉野 /奈良

国栖地区特産の和紙を手にする糟谷陽一さん(右)と、完成したばかりの「くにす食堂」オリジナルエプロンを着ける林登己恵さん=奈良県吉野町窪垣内で、萱原健一撮影

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自粛中に「非対面」模索

 新型コロナウイルスで大打撃を受けた県南部の観光地も少しずつにぎわいを取り戻す中、18日に3カ月半ぶりに営業を再開する店がある。和紙の産地で知られる吉野町国栖(くず)地区にある「くにす食堂」。地域の人に愛され、再開を待ち望まれていたが、急がず焦らずタイミングを計っていた。オーナーの糟谷陽一さん(28)に尋ねると、「大切な地域の高齢者のことを一番に考えました」との答えが返ってきた。【萱原健一】

 くにす食堂は、古民家を修繕し、2019年11月に本格オープンした。地域おこし協力隊として同町に移住した糟谷さんが、コミュニティー拠点となる食堂を開き、金・土・日曜に地元の「お母さん」たちと週替わりランチを切り盛りしている。県外からも食べに来る人気で、2、3月は完売。軌道に乗り始めたところでのコロナ禍だった。3月29日を最後に営業の自粛を決めた。

「くにす食堂」オリジナルエプロンの草木染に協力し、アケビのつるを炊き出す福西正行さん=奈良県吉野町で、萱原健一撮影

 「家族のように温かく接してくれる大切な人たちばかり」と糟谷さんが話す国栖地区は、65歳以上の占める割合が55%超の「限界集落」。食堂スタッフとして糟谷さんを助ける林登己恵さんも今月で79歳になる。「林さんがウイルスにかかったらと思うと……」と糟谷さん。高齢者の健康を気遣い、営業再開を慎重に見極めてきた。

 コロナ禍を経験して「非対面型の仕事」の必要性を痛感したといい、糟谷さんは自粛期間中、インターネット販売できる食堂のオリジナルグッズを作っていた。その一つが、麻100%のエプロンだ。色を染めてくれたのは近所の福西正行さん(58)。表具用手漉(てすき)和紙(宇陀紙)製作の、江戸時代から続く福西家6代目。文化財保存のため国が伝承を支援する選定保存技術の保持者だ。「紙やのうて、布を染めるのは初めて」と言いながら、大きな釜でアケビのつるを炊き出し、明るいグレーに染め上げてくれた。

 福西さんは「この辺りはこれまで、みんなが集まって食べられる場所がなかった。地域にとってありがたい食堂」と話し、協力を惜しまない。林さんも「コロナに対する不安はあるけど、地域の人が応援する食堂やから、またにぎわいを戻したい」と笑顔を見せた。

 当面は土・日曜のみの営業。18日のメニューは「おろしハンバーグ」だ。

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