茂木健一郎さんと考えるSNS中傷 「クソリプ」抑止に重要なメタ認知とは?
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SNS上の誹謗(ひぼう)中傷はなぜやまないのか。悪意ある書き込みをしてしまう人の脳内の構造とはどんなものなのか。自らもツイッターで「数限りない炎上経験がある」という脳科学者の茂木健一郎さん(57)に、SNSとの付き合い方やリテラシーを身につけるために必要なことを聞いた。【野村房代/統合デジタル取材センター】
言葉尻とらえ、反射的に否定
――自身の炎上経験をふまえ、攻撃的な書き込みをする人の傾向はあるのでしょうか。
◆文脈や経緯を追わずに、言葉尻を捉えて反射的に否定する書き込みが多いと感じます。例えば最近、香港国家安全維持法を施行した中国の問題について「『香港独立』と叫んだり、『香港独立』という文字を掲示しただけで逮捕するって、表現の自由は一切ないということじゃない……。そんなチャチな法律つくって、何がやりたいの、偉大な国、中国よ。」とツイートしました。そうしたら「偉大とは何だ」と、中国を賛美していると誤解した批判がいくつも寄せられました。皮肉を込めているということが伝わっていないんです。
こうしたことは日本に特有で、攻撃する人たちが使う言葉も似通っている。英語のアカウントでも発信していますが、ほとんど炎上しないし、批判する場合でも一人一人が個別に意見を述べている印象を受けます。でも面と向かって非難されたことは一度もありません。実際に会うと理性が働くのに、ネットではそれができない。日本は匿名アカウント率が高いですが、匿名では抑制が利きにくいこともあるでしょう。
同調圧力の裏返し
――そうした傾向からどんなことが考えられますか。
◆日本社会の同調圧力の強さの裏返しなのかなと思います。時代の雰囲気や気分をくみ取って、どういうことを言えば多数派になれるかを考え、それに沿った意見を言う。例えば芸能人のスキャンダルなどわかりやすい不祥事へのバッシングに同調する人は、普段の生活で風見鶏のように周囲を気にしている人、我慢している人が多いのではないでしょうか。米国と違って、自民党が圧倒的に強くて野党が弱い、という政治状況も背景にあるかもしれません。
前頭前野の機能が低下?
――脳の仕組みにも関係があるのでしょうか。
◆…
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