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コロナ禍で恋愛のあり方「変わると思います」 作家、金原ひとみさん

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作家、金原ひとみさん(提供写真)
作家、金原ひとみさん(提供写真)

 新型コロナウイルスで、恋愛のカタチは変わっていくのだろうか? 「濃厚接触」を減らし「ソーシャルディスタンス」を保つことが新しい社会規範とされる中、それでも人は誰かを愛さずにいられない。コロナ禍の真っただ中で恋愛小説「アンソーシャル ディスタンス」を発表した作家、金原ひとみさん(36)に、「コロナ時代の恋愛論」を語ってもらった。【オピニオングループ/小国綾子】

「恋愛することで生き延びてきた」

 ――金原さんにとって、恋愛とはどんな存在ですか?

 ◆私は、小説を書くことと恋愛をすることで生き延びてきたんだと思います。子ども時代、とても生きづらかった。なんとか生き延びるために見いだしたのが、小説を書くことと、恋愛によって相手と小さな世界を築き上げていくことでした。

 恋愛は生きる糧。救いの一つでもありました。

 ――私小説仕立てのエッセー「パリの砂漠、東京の蜃気楼」(集英社)でも、こう書いておられます。<きっと私は恋愛によって救われたのだ。個人として、一対一で誰かと向き合い、求めたり求められたりすることで、生きる意味を自分の中に構築していくことができたのだろう>。では、コロナ禍で恋愛のあり方は変わると思いますか。

 ◆変わると思います。

どこで誰と生きるか?

 ――それは「オンライン恋愛」が増える、などの変化?

 ◆いいえ。コロナ禍で、夫婦や恋人たちの関係性にはすでに、さまざまな変化が起きていると思います。

 長くフランスに暮らしていた友人が先日、日本に本帰国しました。渡仏して15年。感染拡大で街がロックダウンされ、「死の街」のようになった異国で、「帰国するなら今しかない」と決断したようです。

 仕事のある夫をフランスに残し、彼女は子どもを連れて帰国しました。彼女は少し前から離婚と本帰国について考えていたそうで、ある意味、コロナが背中を押したのでしょう。

 どこで生きるか、どう生きるか、誰と生きるか。コロナに直面したことで、根源的なことを問い直すタイミングが人々に訪れているのかもしれません。

 自分だって死ぬかもしれない、と誰もが意識したことで、人生の優先順位を見直すきっかけになっているのだと思います。「私にとって大切なものとは?」と。

 ――なるほど。

「自粛」で変わった距離感

 ◆コロナ禍が恋愛に与える影響でいえば、もう一つ、距離感の変化がありますよね。外出自粛要請の中で、家族以外の相手とは物理的に会いにくくなりました。

 だから恋人同士であれば、コロナを機に同居を決めたり。夫婦であれば、お互いテレワークとなって一緒の時間が増えたり。もちろん、そのことで夫婦仲が良くなった人もいるでしょうが、逆に関係性が悪化するケースも増え、「コロナ離婚」という言葉もはやりました。

 街が完全にロックダウンされた海外ではもっと切実だったでしょう。海外の作家のエッセーで、外出禁止で会えない友人と買い物の時間を示し合わせ、スーパーマーケットでつかの間、話をする、という場面がありました。コロナ以前だったら思いもつかないシチュエーションですよね。

不倫相手と会いづらく

 ――そういえば先日、公園で金原さんの小説を読んでいたら、隣のベンチで30代後半くらいの女性2人が大声でおしゃべりをしていました。外出自粛のせいで、妻子ある不倫相手の男性と会えなくなり、連絡も途絶えたとなげいている。それをもう一人の女性が懸命になぐさめていました。

 ◆そういう話はよく聞きますね。コロナで、夫婦ともテレワークになってしまい、不倫相手と会いづらくなったという話。もちろん、中にはお構いなしに会い続けている人たちもいますけど。

 逆バージョンもあります。不倫が発覚したばかりの夫がコロナでテレワークになり、ずっと家にいてくれることで、ようやく心の平穏を手にすることができた、という妻の話。「夫が浮気する可能性のない暮らしがこんなに幸せだったとは……」と。

 また、自粛をめぐる考え方の差異が、夫婦関係に微妙な影を落とすこともありますよね。夫に「君が感染し、俺にうつしたら、会社で大変な立場に追い込まれる」と言われ、飲みにも行けない、と話す妻もいます。

恋愛の喜びも…

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