メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

的川博士の銀河教室

的川博士の銀河教室 606 小惑星探査機「はやぶさ2」

[PR]

12月6日に地球帰還へ

 小惑星探査機「はやぶさ2」の地球帰還(きかん)の日が12月6日に決定したと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表しました。小惑星リュウグウから採取したサンプル入りのカプセルを地球のはるか上空で切り離し、オーストラリアの砂漠(さばく)に落下させます(図1)。

 5月12日に始まり、9月まで予定されているイオンエンジンの噴射(ふんしゃ)、10月以降の化学エンジン(ガスジェット)による地球接近を含(ふく)め、カプセル帰還のラストスパートが開始されています。なお、探査機の本体は、カプセルを切り離した後に、化学エンジンを噴射して軌道(きどう)を整え、別の天体探査に向かいます。

 「はやぶさ2」は2014年12月に鹿児島県の種子(たねが)島(しま)宇宙センターから打ち上げられ、18年6月にリュウグウのそばに到着(とうちゃく)。リュウグウを細かく観察し、岩だらけの地形に驚かされながらも困難を見事に克服(こくふく)して着陸、表面からサンプルを採取し、さらにインパクター(衝突(しょうとつ)装置)を命中させて人工クレーターを作り、内部から表(あらわ)れたサンプルも採取するという離(はな)れ業(わざ)を成功させました。

 数々(かずかず)の世界初の記録を打ち立てた「はやぶさ2」は、19年11月13日に地球へ向けてリュウグウをたちました。往復の旅程は52億キロに及(およ)びますが、7月14日の時点で、残り3億キロのところまで帰ってきています(直線距離(きょり)では9200万キロ)。

 計画では、カプセルは地球の大気圏(けん)に秒速約12キロで突入(とつにゅう)し、高度約10キロでパラシュートを開いて減速し、12月6日未明に着地します。大気圏突入時に明るく光る軌跡(きせき)やカプセルの発する信号を地上チームが現地で追跡(ついせき)しながら、最後はヘリコプターで捜索(そうさく)して回収する運びとなっています(図2)。

 初代はやぶさの時は、そのカプセルからの電波が出なかった時に備えて、編隊を組んで砂漠の広い区域を系統的に捜す猛(もう)訓練を行いましたが、ヘリコプターがあっけなく見つけたので拍子抜(ひょうしぬ)けしたという笑い話のようなオチがつきました。はやぶさ2では、カプセルを無事に回収できれば、数日以内に日本へ輸送し、分析(ぶんせき)に入る段取りになっています。

 JAXAは国内の研究者を中心に、岩石の破片などを分析する国際チームの編成をすでに終えています。小惑星や太陽系の起源と歴史や生命の誕生にかかわる有機物の分析を敢行(かんこう)すべく、今や遅(おそ)しと帰還を待ち受ける世界中の研究者たち。「はやぶさ2」の総責任者を務める津田(つだ)雄一(ゆういち)プロジェクトマネジャーは記者会見で「はやぶさ2にとって地球帰還は集大成。非常に高い精度が要求されるが、確実にやりたい」と語りました。私たちも楽しみに待つことにしましょう。


的川泰宣(まとがわやすのり)さん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. “お蔵入り”大阪市長の肝煎り学校のフェースシールド 医療界が止めた理由

  2. ベトナムで感染力強い型のコロナ流行か 首相「拡大防止へ重要な時期」

  3. 療養ホテル、沖縄は1カ月半「ゼロ」 菅氏が批判、知事は「予想より早く感染者増えた」

  4. ORICON NEWS 香取慎吾「こんなにテレビ出れないか」独立から3年のホンネ 草なぎの大河出演にガッツポーズ

  5. 奈良の感染者の26% コーヒーの香り、カレーの味分からず 発熱から数日後

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです