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余録

「湛湛として長江去り 冥冥として細雨来る/茅茨疎にして湿い易く 雲霧密にして開け難し」…

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 「湛湛(たんたん)として長江(ちょうこう)去り 冥冥(めいめい)として細雨来(きた)る/茅茨疎(ぼうしそ)にして湿(うるお)い易(やす)く 雲霧密にして開け難(がた)し」――唐の詩人、杜甫(とほ)の漢詩の一節だが、大まかな意味は分かろう。題は「梅雨(ばいう)」。「茅茨」は茅(かや)ぶき屋根である▲長江(揚子江(ようすこう))は満々と水をたたえ、暗い空から細かい雨が降る、茅ぶき屋根はまばらで湿っぽく、雲や霧は厚くたれこめる。梅雨は元は中国語で「メイユー」、杜甫は細雨の風情を詠んだが、今年の長江流域は記録的豪雨となった▲流域各地では観測史上最大の雨量や、河川や湖沼の最高水位を記録、洪水などの被災者は延べ3800万人にのぼり、なお数百万人が避難中という。ますます激しくなる「暴れ梅雨」は梅雨前線が横切る東アジア共通の現象のようだ▲こちらも記録的な豪雨による惨害に苦しむ日本列島の梅雨である。今月3~14日の全国964地点の総降水量は、一昨年の西日本豪雨時を超える25万ミリに達したそうだ。気象庁長官も「記憶にない」という梅雨前線の長期停滞である▲この前線の停滞、一因は前線を北に押し上げる太平洋高気圧の力が弱いためで、さらに原因をたどるとインド洋の海水温の高さに行きつくらしい。気象の因果関係は複雑で、このインド洋の高水温は中国の豪雨の原因でもあるという▲「観測史上初」や「数十年に1度」といった気象がすっかり日常のものとなった近年だ。地球温暖化による気候変動を、同じ東アジアに暮らす人々の共有する運命として思い起こさせた今年の「梅雨」である。

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