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加藤陽子の近代史の扉

「正義」に敗れた5.15事件の記憶 国民感情と検察権力

 50年に1度の規模の大災害が、語義矛盾ではあるが毎年起こるようになった。以前の梅雨は、酷暑の夏を前にして静かに雨が降る心休まる季節だった。活発なまま停滞する梅雨前線の異常さにおびえつつ、昔の人の天災への向き合い方などに思いを巡らせた。

 鎌倉幕府第三代将軍の源実朝は、「金槐和歌集」の詠み手としても知られる。その一首「時により すぐれば 民の嘆きなり 八大竜王 雨やめ給へ」をご存じだろうか。1211(建暦元)年7月の洪水に際して詠まれたと詞書(ことばがき)にはある。だが、この時期の和歌を研究する渡部泰明東京大教授によれば、この年に洪水の記録はないという。ならばこの歌はなぜ詠まれたのか。

 実朝はこの頃、中国の帝王学の書「貞観政要」を読んでいた。そこで知った治者としての心得に加え、同時代の順徳天皇が著した有職故実(ゆうそくこじつ)の書「禁秘抄(きんぴしょう)」中の日照りの際の祈りの詞「雨たべ海竜王」から受けた刺激が、この歌を詠ませたというのが渡部教授の謎解きだ。「雨たべ」とは雨を降らせたまえという意味。日照りとなれば天皇が雨の神に祈り、洪水を想定しては将軍が同種の神に祈りもする。人…

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