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この大記録はまだ、伝説の序章にすぎないのかもしれない。将棋史を塗り替える勝利を心からたたえたい。
藤井聡太七段が17歳11カ月で初タイトルの棋聖を獲得した。3冠堅持を目指していた渡辺明棋聖を破り、最年少タイトル記録を30年ぶりに更新した。
2016年に史上5人目となる中学生棋士として最年少でプロデビューした。以来、ここまでの道のりは並外れていた。
デビュー戦からの公式戦29連勝も、30年ぶりの記録更新となる快挙だった。15歳6カ月での公式戦優勝、中学生初の六段昇段など、最年少棋士としての記録は数え切れない。
タイトル奪取は時間の問題だとも言われてきたが、それを初挑戦で達成した。王位戦と並行しての過密日程で、プレッシャーも疲労も大きかっただろうが、ものともしなかった。
昨年、王将戦の挑戦者にあと一歩で届かなかった悔しさも、バネになったに違いない。
武器である終盤の強さを見せつけた。成長の原動力になったのは、たゆまぬ研究だ。新型コロナウイルスの影響で実戦から遠ざかった2カ月間も、自身の将棋を見つめ直す時間に充てたという。
第2局では人工知能(AI)の発想を超えた常識破りの一手を指して勝利を呼び込み、大きな話題になった。
AIは棋士を超えたと言われる。だが、時に「異次元」と呼ばれる藤井新棋聖の発想は、AIでは代替できない人間の可能性に改めて気づかせてくれる。それこそ、知力を尽くした盤上の戦いの醍醐味(だいごみ)だ。
将棋界は、永世7冠の資格を持つ羽生善治九段の1強時代が長く続いたが、一昨年に無冠となった。若手が台頭し、複数の棋士がタイトルを分け合う時代に入った。
その一翼を担うことになった藤井新棋聖の時代が、一気に到来するのか。王位とのダブルタイトルの期待や、21歳2カ月という名人位の最年少記録への挑戦もある。まだまだ楽しみは尽きない。
藤井新棋聖の快進撃は将棋への関心を高め、裾野を広げてきた。伝統文化のさらなる発展につながってほしい。
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