メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚・なつかしい一冊

若松英輔・選 『余白の旅 思索のあと 井上洋治著作選集2』=井上洋治・著

絵・寄藤文平

 (日本キリスト教団出版局・2750円)

 人生を変える一冊は確かに存在する。だが、出会ったときにそれだと分かるとは限らない。私の場合は違った。

 この本は著者が五三歳になる年に刊行された精神的自叙伝である。著者はカトリック司祭だから霊的自叙伝というべきなのかもしれない。ここでの「余白」は、神のはたらきの場にほかならない。

 著者は墨絵の余白を例にして、「余白」の存在論というべき、独自の神学を展開している。水墨画家が白い紙に一つの円を描く。するとそこに完全を意味する象徴的な図形が生まれるだけでなく、同時に「余白」が生まれる。むしろ、黒く描かれた円は「余白」を現出させたともいえる。このことは、世にあるもののはたらきと超越者にそのまま当てはまる、というのである。

この記事は有料記事です。

残り700文字(全文1030文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 死刑執行、被害者遺族へ通知 21日から法務省 希望者が対象

  2. オウム死刑執行 「本当の真実なくなった」河野義行さん

  3. ORICON NEWS 『鬼滅の刃』もはや“日本経済の柱”と話題 映画は歴代1位発進、東宝株価が高値更新…企業コラボも恩恵続々

  4. 菅首相は「反知性主義」なのか 任命拒否問題で神学者・森本あんりさんが抱く違和感

  5. 全国の「森進一」に成り済まし給付金詐取 同姓同名の被告、起訴内容認める

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです