毎日新聞
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水害や土砂災害が相次ぐ中、防災情報を住民の避難にどうつなげるかが課題となっている。
熊本県の豪雨では球磨川が早朝から氾濫し、多くの人が犠牲になった。
なぜ避難が間に合わなかったのか。背景には、防災情報の問題点があるとみられる。
前夜に大雨・洪水警報は出されていたが、大雨特別警報が発表されたのは氾濫が始まる直前だった。避難の難しい未明だ。
特別警報より前に避難勧告などを出していた自治体もあったが、早い段階で避難所へ逃げていた人は少なかったという。
暗闇での避難は危険だったという事情はあるだろう。ただ、住民からは「避難勧告ならまだ大丈夫と思った」との証言もある。危険を適切に伝えられたか国や自治体は検証する必要がある。
特別警報の発表は運用開始から7年で16回を数える。それぞれの地域で「数十年に1度」の大雨が予想される場合などに出されるが、地球温暖化の影響で毎年の発表が当たり前になっている。
本来、発表時には既に災害が起きている可能性が高く、その前に避難を終えなければならない。だが、どれほど危ない状況か伝わりにくくなっているのではないか。
特別警報があるために、その前の段階である警報などに対する住民の危機感が薄れたとの指摘が以前からある。今回もそうした意識が働いた可能性は否めない。
気象庁はこれまで、日中のうちに記者会見をして特別警報を出す可能性を伝えることもあった。それができなかったのは、大雨を降らせた「線状降水帯」の発生予測が現在の技術では難しいためだ。
しかし、豪雨被害がこれほど相次いでいる梅雨末期である。不測の事態にも備えるよう早めの注意喚起ができなかっただろうか。
防災情報が多すぎて理解できないという声を受け、5段階に整理した警戒レベルの運用が始まってから1年が過ぎた。避難勧告などのレベル4で危険な場所からの全員避難が必要になるが、浸透しているとは言いがたい。
防災情報を住民が正しく受け止めることは、適切な避難をするための大前提である。表現や発表の仕方を改善することが急務だ。
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