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東京へ ともに歩む

毎日新聞

水の流れをつかむようにして激流を進む羽根田卓也=東京都江戸川区のカヌー・スラロームセンターで2019年10月20日、大西岳彦撮影

アスリート交差点2020

行動が夢を叶える コロナ禍で考える五輪の価値=カヌー・羽根田卓也

 本来なら今ごろ選手村に入り、数日後に迫った本番に向けて最終調整しているところですね。しかし新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックは1年延期となりました。まだコロナによる不確定な要素が多いので、長期的なプランを立てるというよりも練習環境など今できるベストを見極めながら日々過ごしています。

 2010年から二人三脚で練習してきたスロバキア人コーチのミラン・クバンさんは日本に来られないので、テレビ電話で1週間ごとの練習メニューを決めています。東京五輪の会場となる東京都江戸川区の「カヌー・スラロームセンター」が依然として使えないため、一般のカヌー場を使いながら、ジムに通ってオフシーズンにやるような陸上トレーニングをしている状況です。自粛期間中は自宅でトレーニングをする状況も続いていました。そのせいか久しぶりにカヌーをこげたことにうれしさも感じました。

3大会連続の五輪となったリオデジャネイロ大会の男子カナディアンシングル決勝で銅メダルを獲得し、表彰式で笑顔を見せる羽根田卓也=リオデジャネイロのホワイトウオーター競技場で2016年8月9日、三浦博之撮影

 コロナで練習環境は制限されていますが、五輪に向けたモチベーションが下がったことは一切ありません。五輪が延期されましたが、今の自分の気持ちを正直に表すとネガティブもポジティブもありません。毎日のトレーニングに外的要因は関係ありません。制限されているのはしょうがないので、その中でやるしかない。考えることに意味はないとすら思っています。外で練習ができなければ自宅の風呂場でパドルを使う練習をするとか、その状況に応じてできる方法を考えるだけです。

 コロナ禍で改めて五輪の価値を考えることがあります。五輪は世界の注目度を含めてアマチュアスポーツ選手にとって最高の大会で、その中でも自国開催というのは、誰もが憧れる最高の舞台だと思います。そこに挑戦できるのは限られたアスリートしかいません。自分の競技人生において、常に目指し続けてきた五輪を東京で経験できるのは最初で最後だと思います。だからこそ1年延期だろうと、開催されるのであれば何が何でもそこに向かって突き進むしかないのです。

 昨年の五輪1年前は代表選考の最中でしたが、今は代表権を確定させて延期になっても維持されている状態です。それも不安なくトレーニングできる理由だと思います。

 秋にはフランスなどでワールドカップ(W杯)も再開されるので欧州に行くことを検討しています。欧州に行けば検疫や隔離期間がどのぐらいになるかなど分からないことも多いです。コロナの不安もありますが、いつまでも恐れていたらきりがありません。大会が始まるぎりぎりのタイミングで行くのがベストなのかなと考えています。刻一刻と変わるコロナの状況を見極めながら感染予防対策を徹底し、充実した練習を積み重ねていきたいと思います。(あすは競泳・渡辺一平です)

はねだ・たくや

 愛知県豊田市出身。種目はスラローム男子カナディアンシングル。高校卒業後からスロバキアを拠点とし、2016年リオデジャネイロ五輪ではカヌーで日本初メダルの銅メダルを獲得した。33歳。