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社説

骨太方針と公共事業 展望欠いた予算獲得策だ

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 経済と財政に関する「骨太の方針」が閣議決定された。

 防災関連を原案から大幅に拡充し、今年度末に終わる国土強靱(きょうじん)化3カ年対策後の公共事業費について「必要な予算」を確保するとの記述を「必要・十分な予算」に強めた。事業規模が現在の対策の7兆円を上回る可能性が出てきた。

 与党から「熊本の豪雨被害を反映すべきだ」と注文が相次ぎ、強靱化の旗振り役である自民党の二階俊博幹事長が安倍晋三首相に予算の大幅拡大を求めていた。

 懸念されるのは規模ありきの姿勢だ。防災を名目に不要不急の事業が紛れ込みかねない。そもそも3カ年対策も既存事業の看板を掛け替えただけのものが目立つ。

 本来、骨太の方針は将来あるべき国家像を描くのが目的だ。防災も、地球温暖化で想定を超す災害が多発していることを踏まえ、堤防などハード面だけでなく、避難の迅速化などソフト面も含めた総合的ビジョンを示す必要がある。予算目当ての手段となっている現状は本来の姿からほど遠い。

 骨太の方針に盛られた他の公共事業も長期展望を欠いている。

 安倍政権は今回も整備新幹線や高速道路の早期整備を目標に掲げた。だが新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が定着を図っているテレワークは人の移動を減らすものだ。移動時間の短縮に従来通り巨費を投じるのは疑問だ。

 訪日観光客を10年後に6000万人へと大幅に増やす政府目標は達成が極めて厳しくなった。にもかかわらず空港やリゾート施設を整備する方針は維持した。

 コロナ禍に伴う大規模な経済対策で財政は一段と悪化した。既存の公共事業にこだわれば、借金漬けがますます深刻化しかねない。だが財政を立て直す目標も明記しなかった。あまりに無責任だ。

 骨太の方針は近年、各省庁と族議員の陳情合戦にお墨付きを与える政策の寄せ集めと化し、70ページを超す文書は「メタボ」と呼ばれていた。今回こそ、経済や社会の大きな変化に応じて大胆にめりはりをつけることが必要だった。

 自民党の岸田文雄政調会長は「脱メタボ」を図る考えを示し、ページ数自体は半減した。だが旧態依然とした予算獲得の手法のままでは、実態は変わらない。

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