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集落水没でも犠牲者ゼロ 元船頭、未明の決断 警報前に住民たたき起こす 熊本・人吉

被災した自宅(右奥)近くから球磨川を見渡し、当時の状況を説明する一橋国広さん=熊本県人吉市中神町大柿地区で2020年7月12日午後3時12分、中山敦貴撮影

 九州豪雨で球磨川が氾濫し、20人が亡くなった熊本県人吉市で、川を知り尽くした元ベテラン男性船頭の呼び掛けにより市の指示を待たず住民が水没前に避難して、人命被害を免れた地区があった。男性は、堤防が決壊した中神町大柿(おおかき)地区の町会長、一橋(いちはし)国広さん(76)。「川に生かされてきたが、球磨川に優しいイメージはない。自然を恐れ、危機意識を持たないといけない」と警告している。

 一橋さんは、日本三大急流の一つで「暴れ川」の異名を持つ球磨川名物、川下り船の船頭を2009年まで23年間務めた。記録的な豪雨が同県南部を襲っていた4日午前2時ごろ、勢いを増す雨脚に「降り方がおかしい」と感じた一橋さんは、地域の自主避難所となっている集会所に向かい、受け入れ準備を始めた。

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