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すごくでこぼこではない、でもなめらかでもない
◆『ざらざらをさわる』三好愛・著(晶文社/税別1600円)
本を通じて初めてその人を知る醍醐味(だいごみ)のひとつに、「やった、信頼できる人に出会えた」という興奮がある。もちろん、会ったことなんてないのだが、そこに連なっている文字列、エピソード、気持ちに、ピタッと体がはまるのだ。
大学生のころ、レンタル屋さんにDVDを借りに行くと、パッケージ裏のあらすじ紹介を読み、「この映画を見て得られる感慨と失われる二時間はどっちが上なんだろう」と考えた結果、「結局なにも借りれないまま、手ぶらで家に帰ったりしていました」とある。 ああ、もう、この人、信頼できる、と興奮する。気が合う、共感する、なんてものではない。そういうものをもうちょっと上回ったところにある信頼。イラストレーターによる…
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