メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

余録

「おかげでさ するりとな ぬけたとさ」…

[PR]

 「おかげでさ するりとな ぬけたとさ」。こう歌い踊りながら歩いたという。江戸時代の伊勢参りの集団、「おかげ参り」の一行である。親や主人に無断で抜け出した子どもや奉公人の「抜け参り」も多かった▲何度か発生した大規模なおかげ参りは一度に何百万という人数に達したという。着の身着のままで抜け出した人々はまず施(せ)行(ぎょう)を受ける印となるひしゃくを与えられ、食物や路銀(ろぎん)、寝場所などを道筋の家々から施されて伊勢へ向かった▲ちなみに勝海舟(かつかいしゅう)の父親・小吉(こきち)は少年時代に家出したおり、ひしゃくを持って家々を回り、1日で米麦5升と120文の銭を施されたと記している。庶民の旅へのあこがれと、その夢をかなえた江戸時代の旅文化には本当に驚かされる▲本来なら何百万人もの旅需要を喚起した「おかげ参り」にあやかりたかろう「Go Toトラベル」である。だが新型コロナの感染拡大局面での繰り上げ実施はいかにも無理押しで、批判を浴びたあげくの支離滅裂(しりめつれつ)となってしまった▲「東京の除外」「キャンセル料補償」など、せっぱ詰まって打ち出した策のことごとくが混乱に混乱を加えたこの間の成り行きである。いぶかしいのは二転三転する方針が、どこで誰の責任で決まったのかさっぱり分からないことだ▲路銀のひしゃくを与えたり、取り上げたり、損した分を返したり……キャンペーンの始まる前からにぎやか過ぎて忘れそうである。求められているのがコロナ感染拡大防止と観光業の救済であることを。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 大阪で新たに151人コロナ感染 重症者は70人で過去最多

  2. 「逮捕は時間の問題」「抗議運動、続けていく自信はある」香港の民主活動家・黄之鋒氏 覚悟を語る

  3. 渡辺が初の名人位奪取 4勝2敗で豊島降す 現役最多の3冠に

  4. 「パンパン」から考える占領下の性暴力と差別 戦後75年、今も変わらぬ社会

  5. 天然アユ食べて健康な目に 病気予防の色素豊富 岐阜薬科大グループ発表

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです