メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

国籍を変えた格闘家の空白の1000日 オリンピック重視が招いた試練

2019年にモロッコで行われたグランプリ大会で気合の入った表情を見せる高木海帆選手=本人提供

 世界最大のスポーツの祭典であるオリンピックへの出場をめざし、国籍変更する選手がいる。柔道の元日本代表でオーストラリア代表に転向した高木海帆(かいはん)選手(29)もその一人だが、代償として3年間の国際大会出場停止を余儀なくされた。思いがけず訪れた1000日超の空白。先の見えない日々を過ごした格闘家は今、何を思うのか。【松本晃】

 「昔は五輪五輪と、五輪に執着していました。今は柔道ができるだけで幸せです。自分の人生で五輪は大きな目標だけど、それがすべてじゃないと思えるようになりました」。6月中旬、東京都内の自宅。坊主頭のように髪を短く刈った高木選手の表情はすっきりしていた。新型コロナウイルスの影響で人との接触を伴う柔道は満足に練習できない状況だが、前を向くのには理由がある。

 法務省によると、日本国籍からの離脱者数は2010年の180人から19年は945人と5倍以上増えており、スポーツ界でも国籍変更は珍しくない。ただ、スポーツ選手の国籍変更を巡っては、過剰な勝利至上主義に陥らないようルールが設けられている。国際オリンピック委員会(IOC)は国の代表を経験した後に国籍変更した場合、原則3年間は五輪に出場できないと規定しているが、国際競技団体(IF)や国内オリンピック委員会(NOC)の合意があれば短縮は可能としている。

 柔道の18年世界選手権でイラン代表として金メダルを獲得したサイード・モラエイ選手(28)は19年世界選手権で敵対するイスラエルの選手との試合を棄権するようイラン政府から圧力をかけられたが従わず、モンゴル国籍を取得。国際柔道連盟やIOCの承認を得て、東京五輪の出場が認められた。

 高木選手は、トルコ人の父と日本人の母のもとに生まれた。小学1年で柔道を始め、高校1年で全国高校総体を制して頭角を現すと、東海大2年だった10年には世界選手権男子100キロ級の日本代表に選ばれた。日本代表重量級のホープとして期待され、翌…

この記事は有料記事です。

残り1206文字(全文2027文字)

松本晃

毎日新聞東京本社運動部。1981年、神奈川県生まれ。住宅メーカーの営業を経て、2009年入社。宇都宮支局、政治部を経て16年10月から現職。柔道、空手などを担当。文学部心理学科だった大学の卒論は「電車の座席位置と降りる早さの相関関係」。通勤に一時間半の今に生きているような、いないような。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 療養ホテル、沖縄は1カ月半「ゼロ」 菅氏が批判、知事は「予想より早く感染者増えた」

  2. ベトナムで感染力強い型のコロナ流行か 首相「拡大防止へ重要な時期」

  3. 4万人までの1万人増は9日間で 初感染者から1万人と比べペース10倍に

  4. 療養ホテル確保数「ゼロ」の沖縄に不快感 菅氏「何回となく促した」

  5. PCR陰性の20代を誤って陽性者の宿泊施設に 福岡市が陳謝

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです