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新型コロナウイルスの影響で延期された東京オリンピックの開幕まで、きょうで1年となる。
国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会は大会の簡素化を進める方針だ。大会関係者の削減や関連行事の見直しなど、検討対象は200項目以上に上るが、詳細な計画は固まっていない。
むしろ簡素化へのハードルが次々と浮上している。
IOCは無観客での開催を望んでいないという。開会式もテレビ放映権や放送時間の関係から、規模を縮小できないことを組織委の森喜朗会長が明らかにしている。
競技や選手数にも手を付けない。史上最多の33競技339種目が実施される。
予算面でも膨張が懸念される。昨年末に発表された総支出1兆3500億円に加え、延期による追加経費は3000億円を超えると想定されている。競技会場や選手村での感染防止対策も不可欠で、さらに費用がかさみそうだ。
東京都も政府もコロナ対策に巨額の予算をつぎ込んでおり、財政的に余裕はない。徹底して経費を圧縮しなければ、結局は国民がツケを払うことになる。
東京都知事選では複数の新人候補が大会の中止や再延期を求めた。各メディアの世論調査でも、来年夏に開催できると考えている人は少数派だ。
1年延期によって引退を決断するトップ選手も出てきた。五輪予選や代表選考の見通しが立たない競技が多い中、情熱を燃やし続けるのがいかに難しいかを物語っている。それだけに、アスリートを安心させる具体的な計画を一日も早く策定すべきだ。
観客数の制限は組織委のチケット収入にも影響するが、IOCのトーマス・バッハ会長は「検討すべき一つのシナリオ」と含みを持たせている。
ワクチンや治療薬の開発が間に合わないケースも想定しておかなければならない。観客数を制限することも視野に、今から知恵を絞る必要がある。
オンラインの双方向性やバーチャル映像を活用して、五輪の価値を伝えることもできるはずだ。感染の収束が見通せない困難な時だからこそ、コロナ下の新たな大会像を提示してほしい。
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