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#最後の1年

新型コロナに揺れる学生スポーツ界。最高学年の選手は無念や戸惑いを抱きながら「最後の1年」を過ごしています。

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#最後の1年

フロアバレーがくれた光 全盲の17歳、田辺凪の告白

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フロアバレーボールを通じて成長を続ける田辺凪=筑波大付属視覚特別支援学校提供
フロアバレーボールを通じて成長を続ける田辺凪=筑波大付属視覚特別支援学校提供

 ボールの行方に耳を澄ませ、得点と同時に静寂を破る歓声に胸を躍らせてきた。視覚障害者も楽しめるように考案されたフロアバレーボールの世界に身を置く。新型コロナウイルスの感染拡大で、今夏の「盲学校の甲子園」こと全国盲学校フロアバレーボール大会は中止になった。全盲の17歳、田辺凪(なぎ)にとって一心に競技に打ち込んできた日々は途端に過去のものとなった。だが心に残ったものは無念ばかりではない。歩みを振り返る時、胸がほんのり温かくなる。

 「なぎー、久しぶり」。6月18日、東京都文京区の筑波大付属視覚特別支援学校。感染拡大に伴う休校で滋賀県彦根市の実家に帰省していた高等部3年の田辺は約3カ月半ぶりに登校した。迎えてくれたのはフロアバレーボール部の仲間たちの声だ。感染の広がりに一時は足元から日常が崩れるような虚無感を覚えた。だが変わらない聞き慣れた声に包まれ、自らの居場所を再確認した。

2歳を前に両目を摘出

 田辺は彦根市で一家の次男として生まれ、生後10カ月で両目の網膜に悪性腫瘍が見つかった。「網膜芽細胞腫」と診断され、医師から「このままでは命が危ない」と告げられ…

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