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余録

毎日俳壇の選者、小川軽舟さんにこんな作品がある…

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 毎日俳壇の選者、小川軽舟さんにこんな作品がある。<渡り鳥近所の鳩(はと)に気負(きおい)なし>。渡り鳥は何千キロも旅をする。一方、近所で穏やかに暮らす鳩。こちらに親近感を覚える気持ちは近ごろよく分かる▲新型コロナウイルスの感染拡大で「3密」を避ける生活が身についた。国内旅行を後押しする国の事業が始まったが、遠出を控えて近所の散歩を楽しむ人も増えたのではないか。心ひかれるのは鳩ばかりではない。こんな所に喫茶店や路地、お寺があったのか、と▲雑誌「散歩の達人」が特集を組んでいた。「ご近所さんぽを楽しむ15の方法」。まさにこの雑誌の原点である。その一つが「短歌でいつもの景色を変える」。歌人の穂村弘さんがノートとペンを手に東京・武蔵野を歩く▲<貼り紙の猫の写真と見つめ合うどこかで鳴っている鈴の音><いくつもの橋を渡って指さしたむかし住んでた部屋の扉を>。自分が散歩で出合った風景が短歌と重なり、思わずうなずいた▲自宅近くでほこらを見つけた。傍らに12人の名前を刻んだ石碑が建つ。この地域から太平洋戦争に出征し、亡くなった人たちの慰霊碑だった。ミンダナオ、台湾、沖縄……。没した戦地が名前の下に記されている▲ゆっくり散歩をしていると、あわただしい通勤途中で見過ごしてきたものが目に留まる。慰霊碑に遺族の短歌が刻まれていた。<自らも民を思いし戦場へ 夢を静かにやすらぎたまえ>。戦後75年の夏。道にたたずめば、遠い昔の日常までも目に浮かぶ。

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