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社説

読書バリアフリー法 文字文化の恩恵を誰にも

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 視覚障害者らの読書環境を整備する「読書バリアフリー法」に基づき、国の基本的な計画が公表された。

 視覚障害者らにとって使いやすい書籍の製作支援や、図書館の体制整備が柱だ。点訳や音訳のインターネットサービスの提供拡充や人材育成の必要性も明記された。

 一方で課題も残る。計画に数値目標は盛り込まれておらず、財源の確保もこれからだ。

 視覚障害者は、全国約90カ所の点字図書館などで、点字に訳されたり、録音されたりした図書を楽しんでいる。これらの書籍は、全国にいる無償のボランティアによって半年近くかけて作られる。

 だが、その製作体制の確保や技術の継承が難しくなっている。ボランティアが高齢化し、主力である専業主婦の人数が減っているためだ。多くをボランティアに頼る今の仕組みには限界がある。

 IT面での支援も欠かせない。

 ネット図書館「サピエ」には約22万4000タイトルの点訳データと約9万7000タイトルの音訳データが登録され、約1万8000人の視覚障害者が利用する。NPOと社会福祉法人が管理・運営にあたるが、資金の大半を寄付に頼り、財政基盤は脆弱(ぜいじゃく)だ。

 電子書籍をスマートフォンやタブレット端末で楽しむ視覚障害者もいる。扱いやすい書籍データの普及には、著作権者や出版社の理解と協力が欠かせない。メーカーは、障害者の利用に配慮した機器の開発を進めてほしい。

 現行のバリアフリー法の支援を受けられない人もいる。児童・生徒の教科書は支援対象だが、教師用の教科書などは対象外だ。視覚に障害のある教師は、点訳に不可欠な教科書などの電子データの入手に苦労している。救済の手立てを考えるべきだ。

 読書に困難が伴うのは視覚障害者だけではない。本のページをめくることができない上肢障害者や、文字が読めない発達障害者もいる。そうした人たちの読書環境も整えなくてはならない。

 読書は知識を増やすだけでなく、考える力を養い、感受性を豊かにする。社会参加の機会も生む。「誰もが文字文化を享受できる社会」に向けて、国は施策の推進に力を尽くしてほしい。

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