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的川博士の銀河教室

的川博士の銀河教室 607 中東初の惑星間探査機「HOPE」 種子島から火星へ

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 さる7月20日午前6時58分14秒(日本標準時)、鹿児島県の種子(たねが)島(しま)宇宙センターから日本の大型ロケットH2Aが発射されました(写真)。ロケットは計画通りに飛行、打ち上げ約57分後に、アラブ首長国連邦(しゅちょうこくれんぽう)(UAE)初の火星探査機「HOPE」の分離(ぶんり)を確認しました。これで、H2AとH2Bロケットの打ち上げは45回連続の成功、打ち上げ成功率は世界トップクラスの98.0%になっています。

 HOPEは太陽電池パネルを広げると全長およそ8メートル、重さは1.5トンほどあります。これから約7カ月かけて4億9350万キロを飛行し、UAEが建国50年を迎(むか)える2021年2月に火星の周回軌道(きどう)に到着(とうちゃく)する予定です。中東の国が惑星(わくせい)間飛行する探査機を飛ばすのは初めてですね(図)。

 H2Aはこれまで成功した41回の打ち上げのうち、地球周回でない探査機を打ち上げるのは、月周回衛星「かぐや」、金星探査機「あかつき」、小惑星(しょうわくせい)探査機「はやぶさ2」につづいて4機目ですね。また、海外から委託(いたく)されて打ち上げるのも4回目となりました。

 このUAEの火星探査機は、一般(いっぱん)には「HOPE」(希望)と呼ばれていますが、現地の言葉では「アルアマル」で、成功すればUAEは、米国、ロシア、欧州(おうしゅう)、インドに続いて、5番目に火星に到達(とうたつ)する国となります。

 HOPEには三つの観測機器が搭載(とうさい)されており、火星を55時間で1周する軌道を回りながら、火星にわずかながら存在する大気の調査をすることに重点をおいています。1年間を通してその様子を観測し、どのように変化していくかを研究するのです。下層大気と上層大気の関係も調べます。この観測は、火星から酸素や水素がなくなった原因をつきとめるのに大いに役立つことでしょう。2013年に打ち上げた米国の火星探査機「MAVEN」は、火星の上層大気だけを調べたので、今回下層大気を調べることで、火星大気の全体の様子が明らかにされるものと期待されています。もちろん地表の写真もいっぱい撮(と)りますよ。

 UAEは、2117年までに60万人規模の火星基地を作るという壮大(そうだい)な目標を打ち出しており、今回はそのための準備という位置づけになっています。なお、火星への打ち上げチャンスは、地球と火星の軌道の関係で26カ月ごとにめぐってきます。ちょうど今月はその絶好期に当たっており、中国が探査機「天問1号」の打ち上げを23日に成功させました。米国も探査車「パーシビアランス」(不屈(ふくつ)の精神)を30日に打ち上げる予定です。


的川泰宣(まとがわやすのり)さん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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