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社説

大阪都構想と住民投票 判断材料が十分ではない

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 大阪市を廃止し特別区に再編する「大阪都構想」の新しい制度案が決まった。都構想を推進する「大阪維新の会」は11月1日に住民投票の実施を目指している。

 大阪府と大阪市の二重行政を解消するのが狙いだ。都市インフラの整備など広域機能を府に一元化し、東京の23区にあたる特別区は身近な窓口業務などを担う。

 2015年の住民投票で一度否決された内容から、今回は主に2点が変更された。

 人口のバランスなどを考慮し、特別区の数を5区から4区に減らした。新庁舎の建設はせず、一部の特別区は現在の市役所本庁舎を活用するという。

 しかし、住民が都構想への賛否を判断するのに十分な材料は示されていない。

 まず、新設される特別区の財政見通しだ。

 制度移行を予定する25年度から39年度まで試算したシミュレーションでは、4区はいずれも財政赤字に陥らないとされる。ただ、これは新型コロナウイルスの感染拡大前のデータに基づいている。

 コロナで経済は深刻な打撃を受けている。感染者数が東京に次いで多い大阪では、財政の悪化が予想される。

 コロナの影響を反映したシミュレーションを作り直し、早急に示さなければならない。

 さらに行政機能が分散されるリスクもある。

 コロナ対策では保健所の役割が改めて注目されている。都構想では保健所を特別区ごとに設置するため、現在より施設数は増えるが、それぞれの職員数は減少する。

 東京都の特別区の保健所では、感染者が多いため、人手不足になっているところもあるという。

 大阪市から特別区に移行して同様の問題が起きないかという懸念に応えるべきだ。

 制度設計を議論する府と市の法定協議会には今春、大阪市民から約2400件の意見が寄せられた。「今はコロナへの対応に注力してほしい」など、早期の住民投票に否定的な内容が4分の1近くに上った。

 コロナ下という新しい状況を踏まえ、住民が制度案の内容を理解して1票を投じられるように情報の周知を徹底する必要がある。

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