幻の「黒い雨」調査 50年代、米医師進言「人体に影響」 米政府は動かず

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ローウェル・ウッドベリー医師の報告書に添付された広島市の地図。原爆の爆心地から1キロごとの距離を示す円と、原爆投下時に48人がいた位置を示す小さな丸印が書かれている(画像の一部を加工しています)
ローウェル・ウッドベリー医師の報告書に添付された広島市の地図。原爆の爆心地から1キロごとの距離を示す円と、原爆投下時に48人がいた位置を示す小さな丸印が書かれている(画像の一部を加工しています)

 原爆による放射線の人体への影響を研究していた米原爆傷害調査委員会(ABCC)の幹部が1950年代半ば、広島で原爆投下直後に降った「黒い雨」などの放射性降下物が病気の原因になった疑いがあると指摘し、詳細な調査が必要だと米政府関係者に伝えていた。原爆投下後の放射性降下物の人体への影響はないという米政府の見解に異を唱える内容だった。ABCCでもその後、詳細な調査は行われず、被爆75年を迎える今も、米政府は見解を変えていない。

 ABCCの生物統計部長だったローウェル・ウッドベリー医師(故人)が、戦後、米軍から核政策を引き継いだ米原子力委員会(現エネルギー省)の関係者らに送った未公開の報告書がテキサス医療センター図書館に残されていた。日付はないが、54年3月に米国が南太平洋のビキニ環礁周辺で水爆実験を実施し、被ばくが問題になった直後の調査の記述があることなどから、以後数年間に作成されたとみられる。

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