毎日新聞
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再生可能エネルギーの主力電源化に向けた包括策を政府が年度内にまとめる。再エネの普及を後押しする仕組みをつくり、関連産業の育成を目指すという。
地球温暖化防止と電力安定供給の両立は時代の要請だ。海外に比べ周回遅れの取り組みを官民一体で挽回しなければならない。
東日本大震災以降、原発再稼働が難しい中、二酸化炭素(CO2)排出量の削減には再エネを伸ばすしかない。だが、政府は原発回帰志向のまま再エネ普及に本腰を入れてこなかった。
再エネの発電比率は17%程度にとどまり、CO2排出量が多い石炭火力が3割超に高まった。
国際社会から批判を浴びた政府は今月、旧式の石炭火力の休廃止方針をようやく決めた。この分の電力を穴埋めする必要から、再エネの主力電源化を迫られている。
包括策の柱は洋上風力発電の推進だ。これまで導入実績はほとんどないが、四方を海に囲まれた日本では大規模な発電施設の設置が可能だという。発電コストの低減が見込まれる。部品を含む設備投資額は最大数千億円にのぼり、経済効果への期待も大きい。
だが、課題は多い。
まず国のエネルギー基本計画が2030年度の風力の導入目標を2%にしていることが問題だ。もっと意欲的な目標を掲げないと、企業の参入は進まない。
欧州と違い、遠浅の海が少なく発電所の建設費が割高なことや、台風に備えた耐久性が求められることもハードルとなっている。蓄電池の技術革新も不可欠で、官民あげて解決に取り組むべきだ。
企業や家庭に電気を届ける送配電網の利用ルールの見直しも急務となる。現状は火力や原発の利用が優先され、「空き容量不足」を理由に再エネ事業者が締め出される例が頻発しているからだ。
九州や北海道など再エネ発電に適した地域と大都市を結ぶ送電線を強化するには多額の費用がかかる。国民の理解も欠かせない。
日本企業の間でも脱炭素への機運が高まり始めている。NTTは再エネ事業への本格参入を計画し、大手電力や商社は洋上風力の建設に乗り出している。民間を巻き込んでエネルギー改革の推進を急がねばならない。
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