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社説

自然災害と文化財 地域の史料守る仕組みを

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 大規模な自然災害が相次ぎ、文化財の被害が報告されている。

 九州を中心とした記録的豪雨では、世界文化遺産「三池炭鉱」や国宝「青井阿蘇神社」などが被災した。日本遺産に指定されている熊本県の人吉球磨地区も広い範囲で浸水した。

 大雨による水害などから事前に文化財を守るのは限界がある。地盤をかさ上げしたり、斜面を補強したりすれば景観が損なわれる恐れもある。

 被害を最小限にとどめるには、洪水ハザードマップなどを活用して文化財の立地を把握し、災害時の保管場所を確保しておくなどの対策が求められる。

 昨年の台風19号では、川崎市の美術館の地下収蔵庫が浸水し、約23万点が被災した。多摩川の洪水浸水想定区域だった。原因は想定外の内水氾濫とみられるが、教訓にすべき事例だ。

 万が一被災した場合の対応にも課題が残る。国や自治体の指定文化財は把握されているが、個人所有の未指定の文化財は所在の確認が十分ではない。災害ごみとして廃棄されてしまう可能性がある。

 自治体には文化財担当職員がいるが人手不足のところも多い。とりわけ災害直後の対応は難しい。

 そんななかで注目されているのが文化財レスキューと呼ばれるボランティアの活動だ。

 倒壊した家屋に残されたり、水没して泥まみれになったりした美術工芸品や古文書を運び出し、応急措置や一時保管をする。1995年の阪神大震災が活動の原点と言われ、地域の歴史研究者らが中心になって各地で団体が結成されている。

 未指定の文化財も、地域の歴史や培われた文化を物語る貴重な史料だ。祭具などは地域が災害から復興していく際の心のよりどころにもなる。所有者の協力を得ながら所在リストを作り、災害時に速やかに救出できる体制を整えることが必要だ。

 改正文化財保護法は、未指定を含めた文化財の活用をうたっている。そうであれば、文化財救出にあたって専門性の高い人材を効果的に配置するなど行政が果たす役割を明確にすべきだ。

 先人から託された地域の遺産を未来へ引き継ぎたい。

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