コロナ、人手不足…豪雨被災地のジレンマ 応援職員感染、ボランティア県内限定
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熊本県南部を中心に甚大な被害をもたらした九州豪雨は、新型コロナウイルスの感染予防を講じながら復興や避難生活を強いられる初めての災害となった。東京などで再び感染者が急増する中、被災地支援に入る他の自治体の職員らも細心の注意を求められている。コロナ対策でボランティアは県内からに限定されており、人手不足が復興の足かせになる恐れもある。
「応援なしでは人手足りぬ」
球磨(くま)川の氾濫で市街地が広範囲に浸水した熊本県人吉市の避難所に緊張が走ったのは、避難生活が10日目に入った13日の夜だった。県外から派遣され、市内2カ所の避難所で健康チェックなどに当たっていた男性保健師の新型コロナウイルス感染が判明したのだ。
それまで新型コロナの感染者が一人も確認されていなかった人吉市は念のため両避難所を消毒し、他の避難所も含め感染対策に不備がないか再点検。避難者同士の仕切りの高さが約1・3メートルしかなかった避難所で約2メートルの仕切りに替えるなど対応に追われた。PCR検査の結果、両避難所の避難者ら約400人は全員陰性だったが、16日には被災地を取材していた報道カメラマンの感染も判明し、県の担当者は「被災者に不安が広がっているが、一方で応援なしでは人手が足りない」とジレンマに苦しむ。
被災自治体には今回、豪雨対応にコロナ対策という二重の負担がのしかかった。各自治体は事前に作成していたマニュアルに従って避難所で検温や手指消毒などを実施。「3密」を防ぐため収容人数も減らしたが、想定の600人を上回る800人超が一時押し寄せた人吉市最大の避難所の運営責任者は「これだけ被害が大きいと計画通りにはいかない」と打ち明ける。
細心の注意を…
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