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恋ふらむ鳥は

/61 澤田瞳子 画 村田涼平

 

「む、難しいです。わたしにはできません」

「つべこべぬかすなッ。それでもおぬし、百済(くだら)王族のはしくれかッ」

 葛城(かつらぎ)はいきなり、善光(ぜんこう)を突き飛ばした。尻餅をついて、ぽかんと口を開いた善光に、白く細い指を突き付けた。

「おぬししかおらぬのだッ。国を失い、家財も家族も奪われてほうほうの体で異国にたどりついた衆の中には、自暴自棄となっておる者も多いだろう。そんな奴(やつ)らの心を束ねられるのは、百済王族たるおぬししかおらん。そんな簡単な道理すら分からぬ愚か者なぞ、今の倭(わ)にはいらんッ。百済だろうが新羅(しらぎ)だろうが、さっさと帰ってしまえッ」

 ひと息に吐き捨て、葛城は善光を睨(にら)みつけた。どすどすと足を踏み鳴らして階(きざはし)を駆け下り、そのまま内宮へと駆け去った。

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