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社説

最低賃金の審議 地域で引き上げの努力を

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 今年度の最低賃金について、厚生労働省の中央審議会が引き上げ額の目安の提示を見送った。

 新型コロナウイルスの感染拡大で企業の業績が悪化しており、凍結を求めた経営側に配慮した。政府が雇用の維持が最優先との姿勢を示し、今年度の引き上げに意欲的でなかったことも影響した。

 経営環境は確かに悪化している。だが、生活できる水準の賃金を保障するという最低賃金の重要性に変わりはない。目安を示さなかった判断は残念だ。

 今後の議論は、地方審議会に移る。ここで、都道府県ごとの最低賃金が実際に決定される。

 新型コロナが経済に及ぼした影響は、都道府県や産業によって異なる。引き上げの余地がないか、地方審議会は地域の実情に合わせて丁寧な議論をしてほしい。

 特に、地域間格差の是正は重要な課題だ。最低賃金が最も低い沖縄県などは時給790円で、最も高い東京とは223円の開きがある。フルタイムの年収に換算すれば40万円を超す差だ。

 地域間格差は、労働者が地方から都市に流出する一因と指摘されてきた。格差を解消し、地方の活性化につなげていく努力が欠かせない。

 過去にも、中央審議会が目安を示さなかったケースはある。だが、リーマン・ショック後の2009年度には、多くの地方審議会が1~5円の引き上げを決めた。

 来年度については、中央審議会の公益委員が「さらなる引き上げが社会的に求められている」と指摘している。海外では、ドイツが来年1月以降、段階的に最低賃金を引き上げる見通しだ。

 景気の回復に合わせ、安定して最低賃金を引き上げられるよう、今から取り組むことが大切だ。

 中小企業が人件費の増加をカバーできるよう、政府は、収益向上につながる設備投資などの支援に、いっそう力を入れることが求められる。

 新型コロナを理由に、大企業が下請けの中小企業に一方的な負担を押しつけて、経営を圧迫するようなことは許されない。

 「早期に全国平均で1000円を目指す」とした政府目標の実現に向け、引き上げの流れを堅持しなければならない。

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