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公文書クライシス

「メール廃棄」「ファイル名ぼかし」の深刻な実態 公文書クライシス取材班が語る(前編)

7月21日に開かれたオンラインイベント「『公文書危機』の実態を記者が語る」の画面より

 森友・加計学園問題や「桜を見る会」などで焦点が当たった安倍政権下での公文書のあり方について、幅広い角度から問題提起してきた毎日新聞のキャンペーン報道「公文書クライシス」の取材班と、「デジタル毎日」の有料会員がオンラインで交流するイベント「『公文書危機』の実態を記者が語る」が7月21日夜、取材班がまとめた書籍「公文書危機 闇に葬られた記録」(毎日新聞出版)の発売記念も兼ねて開かれた。元NHKアナウンサーの山根基世さんがモデレーターを務め、約180人の読者が参加。毎日新聞社からは木戸哲・東京本社社会部長、日下部聡・統合デジタル取材センター副部長、大場弘行、松本惇・両社会部記者が参加した。主なやり取りを前編・中編・後編に分けて詳報する。前編は取材班結成の経緯や公文書隠しの手法について。【統合デジタル取材センター】

 山根 「公文書クライシス」が2019年度の石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞した際、審査員を務めたのがご縁でモデレーターにお声がけいただきました。読んだ時、これは「日本クライシス」だと。このままでは日本の民主主義は崩壊する、と。まさに、今書かなければいけない記事だと思いました。まず、安倍政権で続く公文書の不祥事をおさらいしてもらえますか。

 大場 大きく六つ指摘されています。まず自衛隊のPKO日報問題。ジャーナリストの布施祐仁さんが防衛省に開示請求したら、本当は持っているのに隠蔽(いんぺい)したという問題です。次に森友学園問題ですね。安倍晋三首相の妻昭恵さんが関係する森友学園に財務省が国有地を格安で売り渡し、その経緯を記した公文書が隠蔽・改ざんされた。そして加計学園問題。学園の理事長が安倍首相の親友なので、国家戦略特区制度を使った大学獣医学部の新設に関して優遇されたのではないかという疑惑です。記録が十分残されていないために真相がうやむやになっています。

 この三つに加えて最近は「桜を見る会」の参加者名簿が不自然に廃棄された問題や、黒川弘務・元東京高検検事長の定年が延長された時、根拠となる法改正案が法務省で「口頭決裁」されて記録が残っていない問題があります。さらに新型コロナウイルスでも専門家会議などの議事録が残されていなかったことが明らかになりました。

 山根 取材班では皆さんそれぞれどんな役割でしたか。

 木戸 公文書クライシスは17年夏から取材を始めました。当時社会部のデスクとして、毎日新聞社会部でしかできないキャンペーンを考えていた時、調査報道の得意な大場が「公文書の問題をやりたい」と。ちょうどそのころ、当時社会部記者だった日下部が英国留学から帰ってきました。日下部はもともと、情報公開を使っていろいろ記事を書いていたので、もう1人の記者を加えて取材班をつくってみるかという話になりました。

 日下部 英国では情報公開制度と報道の関係について調査したので、何かそれを生かせないかと思っていたところに大場の生々しい話を聞いて、これはすごいと。それで、彼が主演する舞台を整える役割を担うことにしました。ニュースサイトに公文書クライシスの特集ページや情報提供フォームを作るようなこともしました。

 松本 18年に途中から取材班に加わることになって、主に首相官邸の文書管理がどうなっているのかということを、官邸に勤務経験のある官僚に聞いたりする取材を担当しました。

 山根 大場さんが公文書を取り上げたいと思ったのはなぜですか。

 大場 官僚から「霞が関には闇から闇に消える文書がある」と聞いたことです。そして…

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