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「総障害者化」の未来は「連帯」か「蹴落とし」か 今が分岐点 小児科医・熊谷晋一郎さん

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熊谷晋一郎・東大准教授=東京都目黒区で2019年12月16日午後2時2分、堀井恵里子撮影
熊谷晋一郎・東大准教授=東京都目黒区で2019年12月16日午後2時2分、堀井恵里子撮影

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会のさまざまな変化によって、多くの人が不便を味わったために「総障害者化」した――。人々が社会生活を送る中で「生きづらさ」が生じる仕組みについて研究・発信している小児科医の熊谷晋一郎・東京大准教授(43)は、こう指摘する。脳性まひの障害を抱え、車椅子での生活を送る熊谷氏。「総障害者化」から見えてきたものや、「ウィズコロナ時代」を生き抜く心構えを聞いた。【上東麻子/統合デジタル取材センター】

コロナで環境激変 多くの人が社会との間に摩擦

 ――「総障害者化」とは、どういう意味でしょうか。

 ◆障害者は「普通とは違う体をしていること」「行動に何らかの制約があること」などと考えられるのが一般的かもしれません。でもそうではなく、その時の社会環境に体が合っていない状態を「障害」と捉えてみます。そうすると、体はそのままなのに社会環境が変わったために、障害がなかった人が障害者になることがあります。このように、「社会のあり方や仕組みが障害を作り出している」という考え方は「障害の社会モデル」と呼ばれています。コロナの影響で社会の側ががらりと変化したことで、相当な数の人が社会環境との間で摩擦を感じています。そういう意味で、国民全体が障害者になったと言えますし、それが「総障害者化」なのです。

 ――「総障害者化」によるデメリットやメリットは何でしょうか。

 ◆みんなが不便になるという点では、全体としてはデメリットかもしれませんが、メリットもあります。「社会モデル」の観点からすると、それまで抱えていた障害がなくなった人もいるからです。例えば、私のような車椅子の利用者です。これまでは出勤時に乗車トラブルに巻き込まれる恐れがありましたが、在宅勤務が増えたことでその不安がなくなりました。

 もう一つのメリットは、人々が連帯する可能性が出てきたことです。多くの人が社会との間に摩擦を経験しており、これが共通のテーマになりました。誰しも摩擦を抱えている、という共通認識が芽生えて、互いを思いやるような社会に向かう可能性があります。

 一方で逆の可能性もあります。摩擦が増えれば、人々の心に余裕がなくなりがちです。そうすると、自分の事情を優先し、他者を顧みないようなこともしばしば起こりうるでしょう。人々が連帯を重視する方向に向かうのか、それとも自分よりも深刻な状況にある人を蹴落とすような風潮が増すのか、今はその分岐点にある状況だと考えています。

医療資源の配分 経済重視の考えが忍び寄る

 ――このほど、生命倫理・医療者のグループが、パンデミック時に不足が予測される人工呼吸器の使用について、救命の可能性が高い患者を優先することを容認する提言をしました。障害の当事者からは「優生思想につながる」との批判もあります。

 ◆限りある医療資源に対してそれを上回るニーズがある時には、分配の問題が生じます。分配については…

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