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詩の橋を渡って

一瞬で消えてしまう発想=和合亮一(詩人)

あなたは真っすぐな視線を

僕に向けて

どう生きたらいいのでしょうか?

と、突然

 「五十年ぶりに詩を書いてみました」との小さなお便りが挟まれていて、興味が湧いて矢澤準二の『チョロス』(思潮社)を読み始めた。「あなたは真っすぐな視線を/僕に向けて/どう生きたらいいのでしょうか?/と、突然」「檸檬(れもん)を切るみたいに/そんなこと急に訊(き)かないでほしい/金色の靄(もや)がたちこめて」。かんきつ類を切った後にたちこめる香気を思い浮かべて新鮮さを感じた。高村光太郎の詩「レモン哀歌」を連想させる詩句である。

 詩の発想は一瞬にして現れてすっと香りが引くように消えてしまうものである。例えば私は毎日のように詩を考えたり書いたりしてきて三十数年程なのだが、一向にその瞬きを捕まえるコツがつかめず悔しい限りだ。「今まで生きてきた中で/一番うれしかったのは/中学一年のころ/母が/狭い家の六畳間を/半分カーテンでしきって/僕の部屋を作ってくれたこと」。なるほど、記憶の引き出しを開けて探すことも一つの方法かもしれない…

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