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余録

室町時代に来日した宣教師フロイスは…

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 室町時代に来日した宣教師フロイスは日欧の文化の比較をしているが、なかにはキュウリの食べ方もある。欧州人はキュウリを未熟なまま食べるが、日本人はすっかり黄色に熟したものを食べると記している▲キュウリは「黄瓜」だったわけで、味は独特の苦みがあり、江戸時代になっても「賞(しょう)翫(がん)ならず」と人気はなかった。さらに切り口が葵の紋に似て恐れ多いとか、三日天下の明智光秀(あけちみつひで)の紋に似て縁起が悪いとか、評判はさんざんだった▲よく食べられるようになったのは、品種改良で味が良くなった幕末以後というから、一般の食材としての歴史はそう古くない。水気をたっぷりと蓄え、パリッと心地よい歯ざわりが、やはり本来の旬、夏にぴったりのキュウリである▲だが、そのキュウリ、ナスなどの夏野菜をはじめ野菜類の高値が続いている。むろん長引く梅雨による長雨や日照不足の影響という。加えてコロナ禍による巣ごもり消費の需要増もあり、なかには例年の何倍もの値になった野菜もある▲コロナ禍といえばキュウリに疫病を封じ込める密教の秘法を空海(くうかい)が伝えたという話がある。土用の病よけ行事として今に伝わる「きゅうり加持(かじ)」がそれで、水気の多いキュウリには病魔をも溶かして封じる霊力があると思われたらしい▲<茄子(なす)胡瓜(きゅうり)胡瓜茄子ばかり食べる涼しさ>は山頭火(さんとうか)の句。東日本の梅雨明けは8月に入りそうだが、月半ばには野菜の値も落ち着く見通しだ。胡瓜茄子の涼やかさが、ひときわうれしいコロナ禍の夏である。

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