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感染再拡大と特措法 臨時国会開き問題整理を

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 新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、政府は感染防止策として特別措置法とは別の法律の活用に乗り出している。

 社会・経済活動との両立を重視し、特措法に基づく緊急事態宣言の再発令は避けたいという考えのようだ。

 感染症とは直接関係がない風営法も使われている。東京都内では、警視庁の立ち入り検査に併せて都職員が感染対策を促した。

 業界の感染防止指針を守らずに感染者が出た場合は、感染症法に基づきその事実と店名が公表されるという。ペナルティー的な意味合いが強い。

 感染防止対策は重要だが、こうした法律の適用拡大はその趣旨から逸脱する懸念がある。

 対策の強化が必要だと考えるなら、特措法も含めて、法改正が必要かどうかを議論するのが筋だ。

 特措法に基づく緊急事態宣言の発令で浮き彫りになった課題は放置されたままだ。

 都道府県知事による休業要請では、国による補償的な措置がないことが問題になった。自治体は独自に、休業要請に応じた事業者に協力金を出したが、財政力で格差が生じた。

 全国知事会は、休業指示などに従わない事業者に対する罰則の盛り込みを求めている。ただ、罰則がなければ実効性が上がらないのか、慎重な議論が求められる。

 国と自治体の権限と役割分担の整理も必要だ。緊急事態宣言時には、都知事の休業要請方針に国が異議を差し挟み混乱が生じた。

 感染症対策にあたる保健所は、都道府県とは別に東京23区や政令市なども設置している。各自治体の首長の権限などを、明確にすべきだ。

 新型コロナ対策は長丁場が予想され、緊急事態の再宣言が避けられない可能性もある。政府は特措法の議論は感染が収束した後だというが、それでは遅すぎる。

 通常国会は延長せずに閉会され、安倍晋三首相はその後、記者会見をしていない。国会を開きたくないから特措法の議論を先送りしているのであれば、本末転倒だ。

 1日当たりの新規感染者数は、きのう1000人を突破した。速やかに臨時国会を開いて、問題点を整理すべきだ。

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