「女・男の気持ち」(2020年7月23~29日、東京・大阪・西部3本社版計19本)から選んだ「今週の気持ち」は、東京本社版7月27日掲載の投稿です。
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<今週の気持ち>
様変わり 東京都八王子市・柳沢紀代美さん(会社員・55歳)
5月に本欄で「コロナ禍でお気に入りのカフェに行けない」という内容の投稿を読んだ。私にも数少ないお気に入りのカフェが駅前にあったのだが、その店はしばらく休業していた。
7月に改装オープンし、待ってましたと喜びいさんで出かけたら、様子はすっかり変わっていた。その店は2階にあるのだが、1階で飲み物や軽食を注文して自分で席まで運ぶシステムになった。つまりセルフサービスになっていたのだ。よくあるコーヒーチェーン店と同じである。
以前は、たくさんの陶器や花々に囲まれた店内だった。かわいらしい制服の店員さんがオーダーを取りにきてくれて、飾ってある絵画や、たまに開催されるイベントの話ができる癒やしの空間だった。クラシックの音楽も流れており、すいているときは資格の勉強をしたり、ほかのお客さんとなごやかに話をしたりして、悩みなど忘れてしまう貴重な存在だった。
店員さんがいなくなったその空間は、ただの箱のように見えた。きっとコロナの影響でそうするしかなかったのかもしれないが、寂しい限りである。
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<担当記者より>
柳沢さんのお気に入りのカフェは、新型コロナウイルス対策で様変わりしてしまいました。人との接触を減らすため、店員さんのいないセルフサービスになったことがとてもショックで、「コーヒーカップが紙コップになったんですよ」と残念がっていました。
そのお店では、以前はカップをお客さんが選ぶことができ、有田焼、信楽焼など国内の陶磁器産地の作品や海外ブランドのカップ&ソーサーでコーヒーが提供されていたそうです。「『このカップ、うちにも欲しいな。もっと仕事頑張ろう』と、頑張る活力になっていたと思います」と柳沢さんは話します。
カフェにまつわる投稿は定期的に届きます。ただコーヒーを味わう、のどの渇きをいやすための場所ではなく、カフェの空間すべてが私たちにとってやすらぎや活力を与える存在なのだと改めて感じました。その当たり前だと思っていた日常の風景が今、コロナ禍で失われつつあります。
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